うつ病に対する理解を訴える、フランチェスカ・ヘイワードが踊る映像

昨年末に発表されて、ご紹介しようと思いつつ機会を逸していた、非常に美しい動画があります。

ロイヤル・バレエの振付家育成プログラムで学ぶ若手振付家、シャーロット・エドモンズが振付けて、プリンシパル・ダンサーのフランチェスカ・ヘイワードが踊った作品Sink or Swimです。音楽はMatt Dunkleyによるオリジナル・スコアです。

この作品は、水中で撮影されて、うつ病に苦しむ人の葛藤を描くことで、うつ病への理解を深めることを目的にしています。メンタルヘルスの団体 MINDとのコラボレーションで製作されました。

Watch: Underwater dance film explores what it's like living with depression
http://www.roh.org.uk/news/watch-underwater-dance-film-explores-what-its-like-living-with-depression

振付けたシャーロット・エドモンズは、ロイヤル・バレエスクールで学んでいる際に振付家としての才能を発揮し、途中で退学してランベール・スクールを2015年に卒業。2015/16年度のロイヤル・バレエ若手振付家プログラムのアーティストに選ばれました。

エドモンズは語っています。「幼い年齢からバレエを学び、非常に若い時からダンサーとしてのキャリアを始めるバレエダンサーは、成功するために大きなプレッシャーにさらされます。自分自身も周りもがっかりさせたくないからです。アスリートとして、そしてパフォーマーとして、ベストを発揮しようと努力するあまり、ダンサーは自己批判的になります。私がバレエを学んでいた時、深く落ち込んで自己評価や自信を喪失した時がありました。一人で静かに苦しみ、自分のメンタルヘルスについて語ることについては行うべきではないと感じていたのです」

「だからこそ、うつ病への理解を深めることについて、私は情熱を持っているのです。水の上に頭を保ち続けるのが難しいことを認めることは、恥ずかしいことではないのです」

監督のルイス・ジャックにアプローチする前に、エドモンズは、この作品は水中で踊られるべきだというはっきりしたビジョンを持っていました。画家イアン・カンバーランドが描いた、バスタブの中で衣服を身につけた男性が沈んでいる自画像にインスピレーションを得ました。

「衣服を付けたまま水中にいると、身体がとても重く、動くためにもがかなければなりません。どんな動きにもより力を入れなければならず、水面からより深く沈むことを防ぐために、重力と格闘しなければならず、身体が沈んでしまう前に息継ぎをし呼吸することがより難しくなります。この、身体が非常に重い感情を、振付の中に込めたいと思いました」

この動画はBBCのニュースでも紹介されました。

http://www.bbc.co.uk/news/av/uk-england-london-42196220/expressing-depression-through-ballet

フランチェスカ・ヘイワードは、実際にうつ病に苦しむ人々に会って、彼らの感情をいかに表現するかについて知見を得たとのことです。この作品こそが、彼女が誇りを持って観ることができるダンスであると語っています。

「多くの若い人にとって、うつ病というのは理解できないものかもしれません」ヘイワードは語っています。彼女の友人や家族でもうつ病に苦しんだ人がおり、「困難な時に彼らを助けの手を差し伸べることは、私自身のためにうつ病を理解しようとすることでもありました」英国では、うつ病にかかっている若者の4分の3は治療を受けていないとのことです。だからこそ、家族や友人などがうつ病を理解することが大事になってくるとのこと。

そしてエドモンズとルイス・ジャックは、より若い人々が、ダンスというメディア、そしてソーシャルメディアを通してこの映像を観ることによって、うつ病についての理解を深め、話題にしてくれることを期待しています。



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