ハリケーン被害に遭ったヒューストン・バレエの「マイヤリング」

アメリカ南部を襲ったハリケーン・ハーヴェイ。ヒューストンも甚大な被害を受けました。

ヒューストンのすべての劇場の駐車場は浸水のために使用不可能となり、ほとんどの劇場が被害を受けました。ヒューストン・バレエとヒューストン・オペラの本拠地であるWortham Theater Centerも、大きな被害を受けました。

https://www.nytimes.com/2017/09/19/arts/music/hurricane-harvey-closes-houstons-opera-and-ballet-home-for-a-season.html

12フィート(3.657メートル)もの浸水に劇場は見舞われ、衣装やかつらなどのワークショップも大きな被害を受けたそうです。水はポンプで排出されましたが、被害は予想よりも大きく、劇場は来年5月まで使用不可能となりました。またエレベーターの電気系統なども使えなくなったそうです。

ヒューストン・バレエのシーズン開幕演目「Poetry in Motion」(9月8日~17日)はキャンセルされました。しかし、The Hobby Centerという劇場が使えることになり、10月26日、27日にこのプログラムは上演されることになりました。これはスタントン・ウェルチ(芸術監督)の新作、ウィールドンの「回転木馬(A Dance) 」、そしてバランシンの「シンフォニー・インC」のトリプルビルです。当初より上演回数は減ってしまいましたが、完全なキャンセルは避けられたわけです。

https://www.broadwayworld.com/houston/article/Due-to-Hurricane-Harvey-Houston-Ballet-Announces-New-Dates-and-Venue-20170907

そして、北米カンパニーでの初演となるマクミラン振付の「マイヤリング」。こちらは、当初6公演が予定されていましたが、やはりThe Hobby Centerへと場所を移して、4公演となってしまいました。

https://www.houstonballet.org/seasontickets/pdps/2017-2018/Mayerling-2017/

北米カンパニーの初演となるだけに、今回の上演は気合の入ったものとなっています。ケネス・マクミランはヒューストン・バレエとの縁も深い振付家です。

「マイヤリング」の登場人物の相関図が作られており、これはわかりやすいです。

キャスティング
https://www.houstonballet.org/globalassets/pdp/mayerling/mayerling-casting.pdf

9月22日と23日(夜公演)
ルドルフ皇太子 コナー・ウォルシュ
ラリーシュ夫人 サラ・ウェッブ (この二人は新国立劇場バレエ団の「マノン」にゲスト出演していました)
ミッツィー・キャスパー 加治屋百合子

9月23日(昼公演)、24日
ルドルフ皇太子 シャールルイ吉山
ミッツィー・キャスパー 飯島望未

というわけで、日本人ダンサーも大活躍しています。中でも、吉山さんは日本人初のルドルフとのことです。こちらの記事によれば、仕上げの稽古も10日ほど中断したとのことですが、多くの男性ダンサーのあこがれる大役を踊ることは素晴らしいことですね。

吉山シャールルイ、加治屋百合子 復興祈り大役挑む 米ヒューストン・バレエ
https://mainichi.jp/articles/20170920/dde/012/040/004000c

しかし5月まで劇場が使えないということで、これから予定されている「白鳥の湖」そして「くるみ割り人形」を上演する劇場を見つけなければならないという困難も待ち受けています。特に「くるみ割り人形」は30公演以上行う予定で、北米のカンパニーの例にたがわずカンパニーのドル箱となっています。

KEEP HOUSTON BALLET STRONG
https://www.houstonballet.org/about/hb-strong/?id=13951
こちらで、劇場の現状、そして復旧の様子がレポートされ、また寄付を求めています。
バレエのリハーサル室の床を修復するだけでも、10万ドルもの資金が必要だそうです。



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