ウィーン国立バレエ団来日公演、マニュエル・ルグリとキミン・キム「海賊」公開リハーサル

ウィーン国立バレエ団の来日公演が5月9日に開幕しました。

http://www.bunkamura.co.jp/orchard/lineup/18_wiener/

9日、10日に開催された「ヌレエフ・ガラ」は、ウィーン国立バレエの今を伝える、バラエティに富んだ演目で、ダンサーたちの魅力を見せてくれました。ガラと言ってもアンサンブルある作品が多くカーテンコールに登場したダンサーの数も多くて、総出演といった力の入ったものでした。

エノ・ペチ、アンドレアス・ルカーチという現役の団員、プロイエット、クルーグ、リアンなど新進・中堅振付家、さらにノイマイヤー、ファン=マネン、エイフマンと巨匠、そしてプティ、マクミラン、バランシンという20世紀作品まで、非常に幅広く、魅力的な作品ばかりでした。

さらには「ライモンダ」「くるみ割り人形」「白鳥の湖」とヌレエフ作品の抜粋集「ヌレエフ・セレブレーション」、バランシンにマクミラン、そしてルグリ自身も「シルヴィア」「ランデヴー」の名演を見せてくれるという、何とも贅沢な趣向。3時間を超える上演時間でしたが少しも飽きず、ルグリが育てた才能たちを堪能しました。

さて、5月7日には、マニュエル・ルグリとキミン・キム「海賊」の公開リハーサルが開催されました。
(こちらも、写真撮影はVOGUEでお馴染みの井上ユミコさんです。無断転載禁止)


(c)Yumiko Inoue

前日夜に到着したというキミン・キムですが、疲れはほとんど見せませんでした。この時点では、まだほとんどの団員が来日していなかったので、ルグリが、ランケデム、ビルバント、さらにメドーラ役までも演じてみせ、しっかりと踊ってのリハーサルとなりました。


(c)Yumiko Inoue

3月末(1か月前)にキミンはウィーン国立バレエで3日間だけリハーサルを行いました。ルグリ曰く、彼はとても頭が良いとのことで、この3日間ですべての振付を覚えて、まるで機械のように正確だったとのことです。1か月経ってもしっかり覚えていたそうです。現役で踊っているルグリなので、立ち居振る舞いはエレガントで身体はしなやかに良く動き、教えもとても熱く、そして丁寧です。

主にコンラッドとビルバントの対決シーン、終盤のランケデムにさらわれたメドーラをコンラッドが助け出すシーン、そして砂浜に打ち上げられたコンラッドとメドーラとのラストシーンのリハーサルが行われました。ルグリが言う通り、キミンも動きはエレガントで、手足が長く、跳躍はダイナミックで、流石の大器ぶりです。ルグリの教えをしっかりと吸収して、やり直すたびに表現が良くなっていきます。


(c)Yumiko Inoue

リハーサルで、しかも本役のダンサーではなくルグリがメドーラ役を演じているのに、コンラッドとメドーラのやり取りには愛が感じられて思わず見入ってしまいました。ルグリから若いキミンへと、伝統が受け継がれていく瞬間を目撃した思いです。

ルグリの薫陶を受けたダンサーたちが、こうやって育っていって花開いていくんだな、と暖かい師弟愛を目撃して感慨にふけりました。


(c)Yumiko Inoue


(c)Yumiko Inoue

最後には、キミンは軸のしっかりしたエレガントでしなやかなピルエットや華麗な跳躍も見せてくれました。

(c)Yumiko Inoue


5月12日(土)のキミン・キムが出演する「海賊」公演、まだチケットは購入可能です。パリ・オペラ座、ABTなど世界中のカンパニーから引っ張りだこの、ライジング・スターの踊りをぜひ目撃してください。

公演概要・チケット
http://www.bunkamura.co.jp/orchard/lineup/18_wiener/ticket.html

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