ピーター・マーティンス、NYCB(ニューヨークシティ・バレエ)芸術監督を辞任

セクハラおよび暴力騒動でNYCB(ニューヨークシティバレエ)およびSAB(スクール・オブ・アメリカン・バレエ)を休職していたピーター・マーティンスが、月曜日に経営会議に辞表を提出しました。

https://www.nytimes.com/2018/01/01/arts/dance/peter-martins-resigns-ballet.html

本人は、セクシュアル・ハラスメント及び暴力行為については否定をしています。捜査には全面的に協力をしていたとのことです。セクハラの嫌疑を受けたことが、彼自身、そして家族に大きな与えたため、そして混乱を終わらせるために、退任するとしています。経営会議の議長は、マーティンスのバレエ団やスクールへの長年の貢献に感謝しつつも、引き続き捜査は続くとしています。

月曜日にバレエ団の経営会議が、会議を開くので集められ、その場で、先週木曜日にマーティンスが酒気帯び運転で逮捕されていたことも知らされました。マーティンスは2011年にも飲酒運転で逮捕されており、有罪を認めています。(また、1993年には、妻で元プリンシパルのダーシー・キースラーへの暴力でも逮捕されています)

このセクシュアル・ハラスメントの件に関しては、5人のNYCBのダンサー(一人は現役ダンサー)が、マーティンスによる肉体的、もしくは口頭によるハラスメントを訴えています。古くは1993年に起きたものもあります。

一方で、マーティンスを擁護する声も、主に現役ダンサーから上がっており、何人かのプリンシパルダンサーはインタビューやソーシャルメディアでそれを訴えています。(サラ・マーンズ、ミーガン・フェアチャイルド、ロバート・フェアチャイルド、スターリング・ヒルティンなど) しかしながら、インタビューに応じた24人の元ダンサーもしくは生徒は、マーティンスの恫喝によって、バレエへの情熱を失い、キャリアを考え直したと語っています。

元ダンサーたちは、マーティンスの下で働いていた時、マーティンスはダンサーや生徒たちをを肉体的に、そして言葉によりひどくいじめたりしたので、自分の身体のことを恥じたり、彼がお気に入りのダンサーと性的な関係を結ぶことで権力を乱用したので、彼らも同僚たちも不満を表明することを恐れていたとしています。

多くのダンサーは、彼がダンサーと親密な関係になって、それらのダンサーに良い役を与えていると訴えていたとのことです。逆に若いダンサーたちは、彼と性的な関係を結ぶことによって、気を引こうとしていた部分もあったようです。

マーティンスの仕事ぶりについては賛否両論がありました。バランシンの伝統を保ちつつも、新しい振付家にチャンスを与え、ラトマンスキー、ウィールドン、ジャスティン・ペックといった新進の振付家を育てました。現在、NYCBはダンサーのレベルも上昇し、バランシンやロビンスの作品を守りつつも、新しいことに挑戦を続けて、充実したカンパニーとして高い評価を得ています。

そのジャスティン・ペック(現在は常任振付家兼ソリストで、マーティンスが休職中の芸術監督代行の4人のうちの一人)、元プリンシパルで現在もダンサーとして活躍しているウェンディ・ウェーラン、そして元プリンシパルで、元パリ・オペラ座バレエ芸術監督、現L.A.ダンスプロジェクトを率いているバンジャマン・ミルピエが、後継者の候補として名前が挙がっているとのことです。

米名門の監督退団へ セクハラ疑惑、本人は否定
https://mainichi.jp/articles/20180102/k00/00e/040/119000c

有力候補の一人、ウェンディ・ウェーラン



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