元東京バレエ団プリンシパルの井脇幸江さん率いるIWAKI BALLET COMPANY。11月23日に、新宿文化センターにてガラ公演を行います。
演目:
『D/CARMEN』 高橋竜太振付、井脇幸江、菅野英男、高岸直樹、芳賀望、梅澤紘貴、浜崎恵二朗、井上良太ほか
『互イニ素』 青木尚哉振付
大森弥子 岡﨑弓佳 奥響子 片桐りこ 亀田晴美 工藤加奈子 小林らら 多田紗衣子 垂水紫織
高瀬瑶子 高橋奈津子 中林香波 中村優希 堀川千夏 松尾詩織 三田真央 宮川絵理 鷲頭正子
青木尚哉
『Omni-Bus』 遠藤康行振付 井脇幸江、遠藤康行
『ダイアナとアクティオン』 米沢唯、芳賀望
『La Lune~わがままな月』 名倉加代子振付/出演 鳥居かほり、高岸直樹
『海賊 グラン・パ・ド・ドゥ』 正木萌、梅澤紘貴、浜崎恵二朗
2016年初演の『D/CARMEN』(元東京バレエ団の高橋竜太さん振付)、遠藤康行さんがこのガラのために振付けた新作『Omni-Bus』、オーディションで選抜されたメンバーによる青木尚哉さんの『互イニ素』 、そしてジャズダンス界のレジェンド名倉加代子さんによる『La Lune~わがままな月』など、新作もありオリジナル作品の再演もあります。豪華な出演者による、多彩な作品を観ることができます。
そして、ガラ公演ではありますが、『D/CARMEN』、『互イニ素』 、『Omni-Bus』は音楽が生演奏であるというのもポイントです。
さて、先日、このガラのためのリハーサルにお邪魔しました。
まずは、青木尚哉さん振付による『互イニ素』 です。2015年にバレエ・クレアシオンで初演されていますが、今回の再演のためにかなり手を入れた部分もあったとのこと。
(これは初演の時の映像なので違う部分もかなりあります)
基本的にはコンテンポラリー作品ですが、選ばれた18人のダンサーはバレエのテクニックをしっかりと持っているので動きがきれいです。最初はバラバラであるかのように見えて、一人一人が細胞となって大きなものを作り上げているようなイメージがあり、躍動感があってとても力強い作品です。そして、振付家としてだけでなく、ダンサーとしてのカリスマ性と求心力が強烈な青木さん。しなやかで強靭、雄弁な青木さんの動きからは目を離せません。
『D/CARMEN』は、高橋竜太さんが2016年に開催された井脇さんのリサイタルのために、「カルメン」をリハーサルしているバレエカンパニーを舞台にして、愛憎、裏切り、駆け引きなどの人間模様を(バレエマンガ的に)描いて劇中劇にした作品です。プリンシパルのペアが井脇さん(カルメン)と高岸直樹さん(エスカミリオ)、に対して、新人ダンサーの菅野英男さん(ホセ)が割って入るという三角関係が描かれています。井脇さんと高岸さんは、それぞれカルメン役、エスカミリオ役がこれ以上似合う人は日本にはいないというほどはまっている大人のペアで、東京バレエ団時代の二人を知る人にとっては、この並びには思わず胸が熱くなることでしょう。井脇さんがバレエ団時代に感じていたプリンシパルとしての孤独感や葛藤、喜びや苦しみもこの作品の中で表現し見せたいとのことです。井脇さん、高岸さんだけでなく、振付の高橋竜太さん、そして梅澤紘貴さんや井上良太さんと元東京バレエ団メンバーが集結しているのも嬉しい。
この日のリハーサルにはいませんでしたが、菅野英男さんが持ち前の演技力を発揮し、嫉妬の炎を燃やし錯乱する若いダンサーを熱演するということで、とても楽しみです。井脇さんが、「私と似た部分を持っている」菅野さんにこの役をぜひ演じて、舞台の上で不幸にさせてみたいということで起用されたそうです。
『Omni-Bus』は、アヴェ・マリアを使った美しいパ・ド・ドゥ。具体的な物語はないものの、一組の男女の関係を描いています。それも必ずしも愛情というわけではなく、人生を通して二人が交錯し、様々なパートナーリングの中で時を重ねて友情やパートナーシップを築き、そしてそれぞれの道を歩いて人生は続いていくというドラマ性を感じさせます。作品の中に、井脇さんと遠藤さんの生き方や人生までもが透けて見えるような深みがあり、さらに井脇さんが東京バレエ団時代に踊った代表的な役柄のモチーフまでもが現れるという趣向。振付/出演の遠藤さんは、井脇さんと踊るのは初めてとのことですが、長年彼女の踊りを見続けたところから、その人生を作品にしたいと考えたことで、ここでは「時」を、そして同志愛を表現したいと語っていました。バレエダンサー生活が30年を越えた井脇さんが、相変わらずの美しいプロポーションと研ぎ澄まされたラインを保っているのも、勇気づけられることです。
『La Lune~わがままな月』は、高岸さんと、女優としても有名な鳥居かほりさんの共演によるセクシーでスタイリッシュなジャズ作品。高岸さんの日本人離れした華と成熟した色気、そして鳥居さんも美しいプロポーションとキレのいいダンスでとにかくかっこいい作品でした。
リハーサルは観ていませんが、『ディアナとアクティオン』を踊るのは米沢唯さんと芳賀望さん。米沢さんは今回初めてディアナを踊るそうです。そして、この米沢さんのスーパーテクニック!楽しみですね。
新作やオリジナル作品、コンテンポラリー作品、そしてジャズや古典のパ・ド・ドゥとバランスの良い構成。バレエが派手なテクニックを競うものではなく、成熟した大人の表現力や長年にわたって醸成されてきた芸術性、そして新しいものに挑戦していく意欲、音楽も生演奏を取り入れていて、とても志の高いガラです。井脇さんが、バレエを通して伝えたいメッセージがきっちりと伝わってきました。どの作品も観ていて楽しく、バレエを初めて見る人にとってもとても楽しめます。お勧めの公演です。
〈公演日時〉
11月23日(祝・木) 15:00開場 15:30開演
〈場所〉
新宿文化センター大ホール
〈出演〉
井脇幸江(IBC総監督・井脇幸江バレエスタジオ主宰・元東京バレエ団プリンシパル)
菅野英男(新国立劇場バレエ団 プリンシパル)
高岸直樹(東京バレエ団特別団員・元東京バレエ団プリンシパル)
鳥居かほり
芳賀望
米沢唯(新国立劇場バレエ団 プリンシパル)
青木尚哉(振付家・ダンサー)
遠藤康行(元フランス国立マルセイユバレエ団ソリスト・振付家・ダンサー)
梅澤紘貴(元東京バレエ団プリンシパル)
浜崎恵二朗(新国立劇場バレエ団)
会田桃子(ヴァイオリニスト)
熊地勇太(「互イニ素」作曲・演奏)
菅田典幸(「互イニ素」ドラム演奏)
佐脇由佳里(「互イニ素」ピアノ演奏)
IBCメンバー他
全席指定(税込)
S席:¥9,000- A席:¥7,000- B席:¥4.000- C席:¥2,000-
チケット申し込みフォーム
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カンフェティ:0120-240-540
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