宇宙飛行士を目指す物理学者のバレリーナ

メリット・ムーアは、チューリッヒ・バレエ、ボストン・バレエ、イングリッシュ・ナショナル・バレエ(ENB)で踊ったプロのバレリーナでありながら、ハーバード大学を卒業し、現在はオックスフォード大学の博士課程で量子物理学を専攻する物理学者でもあります。

http://physicsonpointe.com/about/

そして今、彼女は現在放映中のBBCの番組" Astronauts: Do You Have What It Takes?"で、宇宙飛行士を目指す12人の候補者の一人となり、ふるい落とされるまで全6回のこの番組に出演し続けます。

http://www.telegraph.co.uk/science/2017/08/20/oxford-physicist-professional-ballerina-battles-become-astronaut/

http://www.bbc.com/news/av/uk-england-oxfordshire-40491626/merritt-moore-the-professional-ballerina-and-quantum-physicist

彼女にとって宇宙飛行士となることは子供の時からの夢だったそうです。バレエで培った忍耐力と体力、そして物理学を修めていることは、宇宙飛行士を目指すうえで役に立っていますが、この番組では初めて経験するような非常に難しい課題に取り組まされて、決断力、忍耐力、協調性などを試されます。

こちらのインタビュー記事では、彼女はどうやってバレリーナと物理学のキャリアを両立させているかを語っています。
http://www.dancespirit.com/the-ballerina-whos-getting-her-phd-in-quantum-physics-might-add-astronaut-to-her-resume-2471024672.html

研究を優先させるために何回もバレエを辞めようとしたものの、そのたびにエネルギーや集中力が落ちてしまうそうです。そして彼女は、バレエダンサーには、バレエ以外の興味を持つことを勧めています。バレエの世界では不条理なことや不安や辛いこともありますが、もう一つの世界を持つことで、バレエでの苦労を忘れることができるし、また再びスタジオに戻りたいと思うきっかけにもなるし新しい動きへのインスピレーションも湧くそうです。

研究室においては、新しいソリューションや問題を可視化するために創造性が必要だし、ダンスの世界では、分析力を持つことで身体能力の限界を広げ、新しくて先進的なムーブメントを見つけることができるようになるとのこと。

メリット・ムーアは博士論文を提出後はしばらくフルタイムで踊るつもりでおり、物理学とダンスを融合させたプロジェクトに集中するそうです。ロンドン・コンテンポラリー・バレエでロボット科学を使った作品に取り組んでおり、これはただいまヴィクトリア&アルバート博物館で上演されてます。
https://www.vam.ac.uk/event/zwEaoBwK/slave-master-ldf

なお、彼女は、ダレン・ジョンストンの「ZERO POINT/ゼロ・ポイント」(高知県立美術館、バービカン劇場で2016年に上演)の科学コンサルタントも務めていました。

こちらのBBCの番組が終了し、宇宙飛行士に選ばれなくても、引き続き宇宙飛行士は目指すとのことです。平均的な宇宙飛行士は30代半ばで選ばれており、現在29歳の彼女は、まだまだチャンスがあると思っているとのこと。宇宙飛行士になれる確率は0.15%とも言われてますが、チャレンジし続けることでより良い自分になれると彼女は語っています。

宇宙でバレリーナがバレエを踊るという世界は本当に実現するかもしれませんね。



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