勅使川原三郎さん率いるKARASのスペース、KARAS APPARATUSの開場4周年を祝う記念公演、アップデイトダンスNo.48「イリュミナシオン」が上演中です。早速二日目の公演を観に行きました。
http://www.st-karas.com/camp0713-2/
夏から夏への移動、太陽から太陽へ回転する太陽が溶けて作られた地球神話。一昨日、充実のニューヨーク公演から東京 荻窪 に戻りました。
アパラタス開場4周年を祝う記念公演が、明後日から始まります。
「イリュミナシオン」という名のダンス。フランスの詩人アルチュール ランボーの詩集「イリュミナシオン」を主軸に
したダンス詩。異なった時代、地域、言語を超えて放たれた詩は、無数の身体
を射た後に私の身体を貫通する。ここに生じるアブストラクトなアクションは、「人間一生の青春期の輝ける怒り
と抗議と希望」を振りかざす。
微熱ではない灼熱の太陽のような発熱は身体を震わせ空気を波打たせる。この作品もまた不可能への挑戦だとしても、私は公演せざるを得ないのです。
勅使川原三郎 2017/7/19
勅使川原三郎さんとKARASは、オーレリー・デュポンと共にニューヨークのリンカーンセンター・フェスティバルで「Sleeping Water」の公演を行い、主要紙でも好意的な批評を得て成功を収めました。
Financial Times (星4つ)
https://www.ft.com/content/1809fec4-6adb-11e7-b9c7-15af748b60d0
New York Times
https://www.nytimes.com/2017/07/14/arts/dance/dance-review-teshigawara-dupont-sleeping-water-lincoln-center-festival.html
勅使川原さんの作品を踊ることについての、オーレリー・デュポンのインタビュー記事
https://www.nytimes.com/2017/07/11/arts/dance/aurelie-dupont-learns-to-breathe-and-be-free-again.html
そのニューヨーク公演から帰ってすぐに、またまったく違った新しい作品を生み出す勅使川原さんの創造性には驚くばかりです。KARAS APPARATUSという小さな空間ならではの完璧な光のコントロールと絶妙な明暗の表現と切り取り。暗闇の中に浮かび上がる人の姿。ノイズとジミ・ヘンドリックスの音楽。ランボーの詩にインスピレーションを得た作品ではあるけど、予想を裏切る、ロックでアヴァンギャルド、だけど決して独りよがりではなくて、ドキッとさせられるとても面白い作品。テキストを表現するのにこう来たか!と。小さな舞台であるようでいて、結構大きな奥行きをしっかりと活かした立体感もあります。勅使川原さん、どれだけたくさんの引き出しを持っているのか。ダンスという枠組みにとらわれない、一つのコンテンポラリー・アート作品でもあります。
「イリュミナシオン」のあと、8月24日より東京芸術劇場で「月に吠える」の公演がありますが、11月までアップデイト・ダンスの公演はありません。
10月25日から、パリ・オペラ座バレエにおいて、勅使川原さん振付の新作が上演されるので、その準備にかかるからです。エサ・ペッカ・サロネンのヴァイオリン・コンチェルトに振付けた作品で、10月中の公演はサロネン自身が指揮、諏訪内晶子さんがヴァイオリン演奏という豪華版です。
「イリュミナシオン」、必ずや新しい発見がある、面白い作品です。ぜひこの特別な空間で、日々成長していくダンスを目撃していただければと思います。いつの間にかアップデイト・ダンスシリーズも48作品となったのですね。
アパラタス開場4周年を祝う夏から夏へ、太陽から太陽へ、月から月へ、太陽と海、月と木々が溶け
合って作られた地球神話のひとつにアパラタスの誕生がある。(かなり大げさ!過大な飛躍!たった4年じゃん!ま、そう、そのとおり)
2013年の年明け時、その先何が起きるか知るよしも無しの元日初日の出。
変わらぬ貧しい公演状況を打ち破る方法は無いのかと不満の日々。
冬の晴天の下、我々の頭上近くに垂れ込める黒々と重苦しく息苦しい厚い雲。
深夜、私はいたたまれず佐東利穂子に電話した。
「これからぼくは劇場を持つぞう!」と叫んだ。翌朝、連絡がきた。
「あったよ」「えっ?」「劇場が見つかった」「えええっ!」
それがアパラタスのはじまり。半年かけて内装、下水、舞台、多くの方々の理解協力のもとすべてを整えた。
説明会、開場パーティ、イベントなど企画し丁寧に公演に向けて準備した。
公演の名称を「アップデイト ダンス シリーズ」と呼ぶこと。
一作品毎の公演回数をなるべく多くすること。
再演を必ず行い作品を成長させること。
他の劇場との協力を念頭にもつこと。
世界に開かれた地域と個人の公共性を確立すること。
等々を確認し地下2階地上1階のアパラタス号は船出した。
それが4年前というわけ。アパラタスは常に移動しつづける。
地下の暗闇こそ光の起源。
嵐が来ようが日照りであろうがこの生き地獄を我が腕の中に抱え込み。
アパラタスは避難所ではない。
アパラタスは闇から生えた黄金の翼だ。
時という母親から生を受けた我らの身体を無駄にしてはならない。
父から得た呼吸器は全世界の空気を吸いに旅立つ。
我らには時間と空気がある。
身体は無記名の見知らぬ乗客かもしれない。
ランボーの言葉がここにある。「俺は他人だ」
他人であってこそ私だ。
私はいつだってダンスを捨て去ろう。
しかし今私はあなた方とダンスをしたいのだ、と。
今後もどうぞアパラタスをよろしくお願いします。
私は止めません。
仲間と進んでいきます。
どうぞご一緒に。勅使川原三郎
KARAS一同
2017/07/21
出演 佐東利穂子 勅使川原三郎
演出 / 照明 勅使川原三郎
【日時】2017年
7月21日(金) 20:00
7月22日(土) 20:00
7月23日(日) 16:00
7月24日(月) 20:00
7月25日(火) 休演
7月26日(水) 20:00
7月27日(木) 20:00
7月28日(金) 20:00
7月29日(土) 16:00
*開演30分前より受付開始、客席開場は10分前
【会場】カラス・アパラタス/B2ホール
〒167-0051杉並区荻窪5-11-15 F1/B1/B2
【問合せ】
TEL. 03-6276-9136 (カラス・アパラタス)