ディアナ・ヴィシニョーワは、6月23日(金)の「オネーギン」の公演で、2005年からプリンシパルを務めて来たアメリカン・バレエ・シアター(ABT)を去ります。
といっても、もちろん引退するわけではなく、マリインスキー・バレエのプリンシパルとして、またゲスト・アーティストとして引き続き踊りつづけます。
マルセロ・ゴメスやグレーミン役のロマン・ザービンとの「オネーギン」のリハーサル、そして彼女のインタビューがナレーションとしてかかる美しい映像(一瞬、ニーナ・アナニアシヴィリも登場します)
Diana Vishneva’s Last Days with American Ballet Theatre
https://thescene.com/watch/thenewyorker/goings-on-about-town-diana-vishneva-s-last-days-with-american-ballet-theatre
今でこそ世界的なスターであるディアナ・ヴィシニョーワですが、この映像でのインタビューによれば、25歳までは自分は思ったほど素晴らしく踊ることができないので辞めようと思っていたとのことです。しかし、ダンスでしか伝えられない感情があるし、舞台に立てば時も人生も立ち止まり、魂の琴線に触れることができるし、それが私の人生であり運命であり、そのことに意味を見つけた、と語っています。
Diana Vishneva Bids Farewell to Ballet Theater, but Not to Dance
https://www.nytimes.com/2017/06/20/arts/dance/diana-vishneva-bids-farewell-to-ballet-theater-but-not-to-dance.html
ABTを去る理由として、ここで踊るのは時間もエネルギーも使うし、40歳となった今、自分の世代はほぼみな去ってしまった、この労力を別のことに注ぎたいから、だそうです。
ヴィシニョーワは、自身が主宰するコンテンポラリーダンスのフェスティバル、「Context」に情熱を注いでいます。最初、古典バレエの世界から来た彼女がコンテンポラリーのフェスティバルを開催するということで人々は驚きました。しかし回数を重ねるごとに、古典バレエとコンテンポラリーダンスは決して無縁ではない、結びつきがあることが理解されてきたそうです。
しかしながら、ABTで多く共演し、今回の「オネーギン」でもパートナーとなるマルセロ・ゴメスは特別な存在であり、このパートナーシップはABTを去ってからも、他で続けたいと語っています。
また、今の若い世代について、自分たちが若い頃と同じような勤勉さは失われてきたのではないかと危惧をしています。今は同じことを教えるにしても教師は10回も20回も繰り返し教えるけど、自分の時には1回ですべてを覚えなければならなかったそうです。同世代のダンサーたちは素晴らしい人ばかりだったし、当時の教師たちはとても怖かったけど尊敬できた。今は教師は生徒たちに依存しているのではないか、と語っています。彼女は、単なるダンサーではなく、芸術の言語の使い手になりたかったので、厳しい競争の中で努力してきました。
ディアナ・ヴィシニョーワは、マリインスキー・バレエのロンドン公演で、「アンナ・カレーニナ」に主演する予定です。しばらく来日していないので、成熟して無駄なものをそぎ落とした今の彼女の舞台を日本でもぜひ観たいものです。