英国ロイヤル・オペラハウス2016/17シネマシーズン「眠れる森の美女」

英国ロイヤル・オペラハウス2016/17シネマシーズン「眠れる森の美女」を試写で拝見しました。

http://tohotowa.co.jp/roh/movie/the_sleeping_beauty.html

【振付】マリウス・プティパ
【音楽】ピョートル・チャイコフスキー
【指揮】クン・ケセルス
【出演】マリアネラ・ヌニェス(オーロラ姫)
ワディム・ムンタギロフ(王子)
クレア・カルヴァート(リラの精)
クリステン・マクナリー(カラボス)
【上演時間】3時間25分



ロイヤル・バレエでの初演にあたる1946年の『眠れる森の美女』の上演から70年となる記念碑的作品。あの名作がプリンシパルたちの競演 によって映画館で鮮やかに蘇る!

第二次世界大戦後、ロイヤル・オペラ・ハウスが再開された1946年。オリジナルの楽曲から綿密に作り上げられ、豪華な舞台デザインでマーゴ・フォンティーンがオーロラ姫を魅惑的に演じた『眠れる森の美女』。瞬く間にロイヤル・バレエを代表する演目となり、バレエ団が国際的名声を築くのに貢献した作品となった。

今回はそのロイヤル・バレエでの初演から70年となる記念碑的な上演。邪悪な妖精の呪いによって眠り続ける王女と、彼女を救おうとする王子。チャイコフスキーによる音楽と、マリウス・プティパによる振付がすべての年代の観客に愛され魅了し続けてきた伝統あるバレエ。ロイヤル・バレエが誇るプリンシパルたちが競演するこの不朽の名作を見逃してはならない。

デジタルプログラム
http://www.roh.org.uk/publications/the-sleeping-beauty-digital-programme
プロモコード FREEBEAUTY

Choreography Marius Petipa
Additional choreography Anthony Dowell
Additional choreography Frederick Ashton
Additional choreography Christopher Wheeldon
Production Monica Mason
Production Christopher Newton
Music Pyotr Il'yich Tchaikovsky
Original designs Oliver Messel
Additional designs Peter Farmer
Lighting design Mark Jonathan
Staging Christopher Carr

Princess Aurora Marianela Nuñez
Prince Florimund Vadim Muntagirov
King Florestan XXIV Christopher Saunders
His Queen Elizabeth McGorian
Cattalabutte, Master of Ceremonies Alastair Marriott
Carabosse Kristen McNally
Lilac Fairy Claire Calvert

Fairy of the Crystal Fountain Yuhui Choe
Her Cavalier Luca Acri
Fairy of the Enchanted Garden Akane Takada
Her Cavalier Valeri Hristov
Fairy of the Woodland Glade Yasmine Naghdi
Her Cavalier Nicol Edmonds
Fairy of the Song Bird Meaghan Grace Hinkis
Her Cavalier Solomon Golding
Fairy of the Golden Vine Anna Rose O'Sullivan
Her Cavalier Fernando Montaño
Lilac Fairy's Cavalier Ryoichi Hirano

The English Prince Gary Avis
The French Prince Johannes Stepanek
The Indian Prince Valeri Hristov
The Russian Prince Thomas Whitehead

Princess Aurora's Friends Isabella Gasparini, Tierney Heap, Meaghan Grace Hinkis, Mayara Magri, Yasmine Naghdi, Demelza Parish, Anna Rose O'Sullivan, Leticia Stock

The Countess Christina Arestis
Gallison Jonathan Howells
Florestan and his Sisters Marcelino Sambé, Yasmine Naghdi, Mayara Magri
Puss-in-Boots and The White Cat Paul Kay, Leticia Stock
Princess Florine and The Bluebird Akane Takada, Alexander Campbell
Red Riding Hood and The Wolf Gemma Pitchley-Gale, Tomas Mock

ロイヤル・バレエの「眠れる森の美女」は、1946年にニネット・ド・ヴァロワが振付け、オリヴァー・メッセルがデザインしたプロダクションをベースに、初演60周年を記念して2006年にピーター・ファーマーの手を入れて復元したもの。さらに2011年に衣装デザインをさらにオリジナルに近いものに更新した。

この舞台映像で際立つのは、なんといってもマリアネラ・ヌニェスの光り輝く存在感。1幕で登場したときのキラキラと光を放つさま、アレグロのステップの正確さと音楽性も見事で、難しい振付をいともたやすく踊っているように見える。天性の明るさと温かさに恵まれた彼女を観ると、誰でも笑顔になることだろう。ローズ・アダージオのバランスも全く危なげなく、少しもハラハラするところがない安定感。一点の曇りもなく闊達なキャラクターはオーロラがぴったり。2幕の幻影のロマンティックな美しい幻、3幕のすべての人に祝福された幸福なプリンセス。これ以上は望めないほどの素晴らしさで、観る者をも幸せにしてくれた。

ワディム・ムンタギロフの王子も、佇まいが貴公子なだけでなく、伸びやかで美しい脚と正確な技術、エレガンスと非の打ち所がない。目立ちすぎることなく、上手くパートナーを引き立てるところがまた王子にふさわしい。この二人のパートナーシップも良くて、ロイヤル・バレエきってのキラキラペアだと感じられた。

映画館中継ということで脇のキャストも豪華で、プロローグの妖精にはプリンシパルの高田茜さんを投入、さらに崔由姫さん、ヤスミン・ナグディ、アナ・ローズ・オサリバンなど実力派や注目の若手も起用し、リラの精のお付きにもプリンシパルの平野さん。ローズ・アダージオの締めにはギャリー・エイヴィス。ロイヤル・バレエらしく、カラボスから脇役に至るまで皆さん演技もとても達者で、舞台の上に立っている全員が細かく演技していてキャラクターになり切っている。

そして3幕のディヴェルティスマンもなかなか豪華で、まずフロレスタンとその姉妹で、フロレスタン役の、柔らかくゴムまりのように高く軽く跳ぶマルセリーノ・サンベが魅力的だった。ブルーバードにアレクサンダー・キャンベル、フロリナにはここでも高田茜さん。高田さんはプリンシパルに昇進してから、自信が増したのか堂々の存在感で、長い手脚、正確なポジション、しなやかな腕使いと優雅なフロリナ姫だった。

主演キャストも脇キャストも素晴らしく、華やかなグランドバレエの「眠れる森の美女」でクラシックバレエの神髄を楽しめたのだけど、唯一不満があるとしたら2011年に改訂されたという衣装。リラの衣装がやや古めかしく、また3幕のオーロラの衣装は地味で角のようなティアラの形が奇妙だった。フロレスタンの姉妹たちの首の回りのカラーは、ダンサーたちの首を短く見せる効果しかなくてゴテゴテしているし、花のワルツの衣装はジゼルのペザントですか、という地味さだった。初演の衣装を復元するのも善し悪しだと実感した。しかし、当代きってのトップダンサーであるヌニェスとムンタギロフ、さらに脇に至るまで踊りも演技もクオリティが高く、ロイヤル・バレエが好きな人だったら間違いなく楽しめるはず。

また、8月のルグリ・ガラにヌニェスとムンタギロフは出演するので、予習として観るのも良いと思う。

TOHOシネマズ日本橋、TOHOシネマズ六本木ヒルズ、TOHOシネマズららぽーと横浜など都内近郊、関西、名古屋は5月12日から、北海道、東北、九州は5月13日からの公開です。

白鳥の湖(2009)、くるみ割り人形(2009)、眠れる森の美女(2006) 英国ロイヤル・バレエ(3BD)
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