◆◆レビュー評◆◆文・乗越たかお ピーピング・トム『ファーザー』

  ~個が世界と一体になった、涅槃の世界~   愛や悪意や欲情が渾然となった人間の深層を描く、美しくも禍々しい世界。世田谷パブリックシアターが一貫して呼んでおり、今回は老人ホームが舞台だ。演じられる人格は、いつのまにか全く違うものに移り変わっていく。なぜなら個人の存在自体が老人ホームの世界に溶解してしまい、境目が曖昧になるからだ。だから名前などの固有名詞は出てこない。  序盤で「鍵が紛失したので...

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