パリ・オペラ座バレエの来日公演が始まり、昨日のミリアム・ウルド=ブラムとマチアス・エイマン主演の『ラ・シルフィード』、まるで奇跡のような素晴らしい公演でした、本物の妖精のようなミリアム、マチアスの見事な足捌きと羽が生えたような高い跳躍。これほどまでにクオリティの高い舞台はそうそうありません。
そして3月3日の『ラ・シルフィード』。マチュー・ガニオの怪我降板により、ジェームズ役はユーゴ・マルシャンが務めました。この公演も、急きょチケットを取って観に行きました。
ユーゴ・マルシャンのジェームズ、マチアスとはまた違った魅力のあった、これまた素晴らしいパフォーマンスでした。長身で大柄なマルシャンですが、その分跳躍がダイナミックな上、プティ・バットゥリーの足捌きはクリアで足先も美しく、細かいパも精確で音楽性にも優れていました。フェッテアラベスクの方向転換、ソ・ド・バスク、ピルエット、一つ一つが綺麗にたやすく決まっていました。大柄なのに着地は柔らかく足音もしません。ドラマの紡ぎだし方も見事で、美しい妖精に魅入られ夢中になっているうちに道を踏み外してしまう青年を好演。アマンディーヌ・アルビッソンとのパートナーシップもよく、サポートも万全でした。とても初共演とは思えないほどです。
アマンディーヌ・アルビッソンは足捌きがとても美しく、綺麗に甲が出てしっかりアンドゥオールした足先は、シルフィード役にぴったりです。アカデミックで正統派のフランスバレエでした。ユーゴ・マルシャンが大きいので、他のパートナーだと彼女は大柄に見えてしまうこともありますが、彼だと見た目のバランスも良かったです。特に2幕では軽やかで足音もしませんでした。席が高い位置だったので彼女の足をよく見ていたのですが、足裏の使い方がお手本のように完璧です。とても愛らしいシルフィードを自然に演じていて、今までに観たアルビッソンの中でも一番合っている役柄に思えました。
ユーゴ・マルシャン、これだけ素晴らしい踊りを見せていてなぜまだエトワールではないのだろうか、と思っていたら、カーテンコールでオーレリー・デュポンが現れて、ユーゴ・マルシャンのエトワールへの任命をアナウンスしました。パートナーのアルビッソン、そしてオーレリーとハグし合うマルシャン。その後、普段着姿のレオノール・ボラックやジェルマン・ルーヴェも舞台上に現れました。感極まったマルシャン。場内は当然総立ちであり、エトワールへの任命を日本で体験でき、未だかつてない事件を目撃したのでした。
NBSのサイトにも写真入りで速報が載っています。
http://www.nbs.or.jp/blog/news/contents/topmenu/33.html
早くもユーゴ・マルシャンのプロフィールはエトワールになっています。まだ23歳という若さ。
https://www.operadeparis.fr/artistes/hugo-marchand
海外ツアーでのエトワール任命は、ニューヨークでのマニュアル・ルグリ、上海でのバンジャマン・ペッシュの例がありますが、日本ではもちろん初めてのことです。ユーゴ・マルシャン、本当におめでとうございます!
ユーゴ・マルシャンとアマンディーヌ・アルビッソンの『ラ・シルフィード』は3月5日にも上演があります。ユーゴ・マルシャンのエトワールになってから初めての舞台を目撃するチャンスです。
オーレリー・デュポン芸術監督になってから、ジェルマン・ルーヴェ、レオノール・ボラック、そしてユーゴ・マルシャンと若手エトワールが次々とエトワールとなり、新時代の始まりを実感しますね。これからは彼らがオペラ座を引っ張っていくことになります。
公式ノミネ動画