マリーヤ・アレクサンドロワがボリショイ・バレエを退団/追記

ボリショイ・バレエを代表するプリマ・バレリーナのマリーヤ・アレクサンドロワが、自らのInstagramでボリショイ・バレエを退団することを発表しました。

この中で、アレクサンドロワは、以下のようにメッセージを書いています。

私の愛する同僚や観客の皆さん、私たちがボリショイで共にした素晴らしい物語について、心からのお礼を申し上げます。しかし、私の人生の中での大きな位置を占めていたこの部分は終わりを告げました。私は新しいページをめくる決断をしたのです。アーティストのいるべき場所は舞台の上であり、残りは幻想にすぎず、不必要な、心を壊すようなうろたえるようなものです。私は、この仕事のために払うべき注意、才能と敬意と愛を最後の最後まで教えてくださった教師のニーナ・セミゾロワとValery Lagunovにお礼を申し上げます。また愛してやまず忘れがたいタチヤーナ・ゴリコワにも大きなお礼を申し上げます。彼女の果たした役割は私の中で、私と共に存在し続けます。人生は続き、これから先もとても面白くて大切な冒険が続きます。皆さまに幸運と忍耐を祈ります。いつもあなた方と共に。マーシャ・アレクサンドロワ

この衝撃的なニュースについて、ロシアのタス通信では以下の記事が掲載されていました。
http://tass.com/society/928775

ボリショイ劇場からの発表が載っています。

「今年1月19日に、ボリショイ劇場のプリマ・バレリーナでロシア人民芸術家のマリーヤ・アレクサンドロワは自らの意思に基づき辞表を提出しました。これは彼女の個人的な決断です」

広報によると、劇場のマネジメントとバレエ団の幹部は彼女と会談し、慰留したとのことですが、アレクサンドロワは考えを改めることはありませんでした。「辞表を提出して2週間後、法律に基づきこの辞表は受理されました。ボリショイ劇場は、彼女の決断を残念に思います」

ボリショイ劇場は、アレクサンドロワがゲストとして戻ってきてくれることを望んでいます。「マリーヤ・アレクサンドロワの素晴らしい才能と疑うべくもないドラマティックな演技を評価し、彼女と今後も関係を続けることをボリショイの幹部は期待しています」と広報はコメントしています。

アレクサンドロワは、退団の理由は明らかにしていません。

モスクワ生まれのアレクサンドロワは、モスクワ舞踊アカデミーの生徒だった1997年にモスクワ国際コンクールに出場し、ボリショイ・バレエに入団しました。「パリの炎」のジャンヌ、「ラ・バヤデール」のガムザッティ、「ドン・キホーテ」のキトリ、「ジゼル」のミルタ、「スパルタクス」のエギナ、「明るい小川」のバレリーナ役などで知られています。近年では、サモドゥーロフの新作「オンディーヌ」の初演キャストを務め、「ラ・シルフィード」のシルフィード役やジゼルなど新境地にも挑んでいました。2004年に黄金のマスク賞を受賞しており、2009年にはロシア人民芸術家となっています。

1月28日の「ラ・バヤデール」ガムザッティ役が彼女の最後のボリショイでの舞台となりました。2月19日にミルタ役を踊る予定となっていましたが、それはすでに代役が立てられています。

その明るく華やかなキャラクターと、これぞボリショイ、という踊りでマリーヤ・アレクサンドロワは日本でも大人気でした。パリ・オペラ座バレエ、マリインスキー・バレエ、そして世界バレエフェスティバルなど世界中の劇場でゲスト出演もしていました。2013年夏のロンドン公演でアキレス腱断裂の大きな怪我をしてしまったものの、見事復活を果たしていましたが、近年はやや若手ダンサーに押されていました。とはいうものの、ボリショイを代表する大スターの突然の退団は世界中のバレエファンに大きなショックを持って迎えられています。ボリショイを離れても踊り続けるのか、引退してしまうのかはまだ不明です。38歳の彼女、まだまだ踊り続けてほしいですよね。

なお、アレクサンドロワが出演しているボリショイ・バレエの「明るい小川」は3月29日(水)に「ボリショイ・バレエ in シネマ」で映画館で上映されます。これは大変面白い作品ですし、アレクサンドロワの魅力も発揮されていますので、必見と言えます。
http://bolshoi-cinema.jp/lineup.html

ボリショイ・バレエは6月に来日公演がありますが、こちらの来日メンバーにもアレクサンドロワは入っていないのですよね。最後にボリショイで観ることができたら嬉しいのですが。

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<追記>
アレクサンドロワは、3月30日~4月1日、ニューヨークのシティセンターにて、ブランカ・リ振付の作品「Goddesses & Demonesses」に出演する予定です。
http://www.nycitycenter.org/tickets/productionNew.aspx?performanceNumber=10307

これは、2015年の年末年始に、パリのシャンゼリゼ劇場でアレクサンドロワとブランカ・リが共演した作品です。当初はマリ=アニエス・ジロが出演する予定でしたが、オペラ座の契約の関係で出演できなくなり、代わりにアレクサンドロワが出演しました。

もうひとつ、3月12日にロンドンで開催されるガラ公演The Russian Ballet Icons Gala 2017にもアレクサンドロワは出演する予定です。
https://londoncoliseum.org/whats-on/the-russian-ballet-icons-gala-2017-in-the-steps-of-the-ballet-russes/

こういう活動の予定を見ると、引退ということは考えにくいのかな、という気もします。

<さらに追記>

「ボリショイは退団したけどダンサーを辞めたわけではありません、新しい世界を開くのを楽しみにしています」という言葉が、ファンの声援へのお礼と共に書かれています。



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