パリ・オペラ座バレエ、ポール・マルクが『ラ・バヤデール』無観客配信公演でエトワールに任命

パリ・オペラ座バレエは12月15日から『ラ・バヤデール』の公演を行う予定で、それに先駆け13日には、無観客で幕ごとに主役を交代した公演を有料で配信しました。その後、パリは午後8時以降の外出禁止となり、残念ながら12月11日付の発表で、年内のオペラ座の公演はすべて中止となってしまいました。

アレクサンダー・ネーフ総裁からのメッセージ

https://www.operadeparis.fr/actualites/message-dalexander-neef-aux-spectateurs-1

『ラ・バヤデール』の配信は日本からも視聴することができたので、夜中まで観ていたところ、最後のカーテンコールでネーフ総裁とオーレリー・デュポンが登場し、ネーフ総裁が、ブロンズ・アイドルを演じたポール・マルクのエトワール昇進を告げました。無観客公演のため、拍手が一切なくて、豪華な舞台装置や華麗な衣装でのグランド・バレエ、ダンサーたちの熱演にもかかわらず、寂しく感じていましたが、最後にこのような喜ばしい任命があり、喜びに満ちあふれた表情のポール・マルクをリアルタイムで見ることができて、嬉しかったです。

https://www.operadeparis.fr/actualites/paul-marque-nomme-danseur-etoile-de-lopera-national-de-paris

 

ポール・マルクは23歳。2008年にパリ・オペラ座学校に入学し、2014年に入団。2016年にヴァルナ国際バレエコンクールで金賞を受賞し、2018年にプルミエ・ダンスールに昇進しました。いずれはエトワールに昇進するだろうと多くの人が予測していた逸材です。ブロンズ・アイドルという小さな役でエトワール昇進は異例のことですが、長身であるにもかかわらず身体のコントロールもダイナミックな跳躍も素晴らしかったです。公演の最初のリハーサルでは、直前にソロル役の代役も務めていたとのこと。

フィガロ紙の記事

https://www.lefigaro.fr/culture/opera-de-paris-paul-marque-nomme-danseur-etoile-20201213

エトワール任命はまったく予想をしていなかったとのことで、配信の最後なので総裁と芸術監督が配信を観ている観客へのあいさつのために登場したと思ったのだそうです。喜びで言葉もありません、エトワールになるのは小さい頃からの夢でした、と語っていました。

現在パリ・オペラ座のエトワールは男性5人、女性9人。マルクは15人目で最年少のエトワールとなります。

フランスでの新型コロナウィルスの感染拡大は深刻で、いつ公演が再開できるかの見通しは立っていません。ダンサーたちは長いこと舞台に立てずにいますが、早い公演再開を祈るのはもちろんのことですが、このような無観客公演がまた行われることを期待しています。

公演全体の中で個人的に一番印象的だったのは、3幕のソロル役のマチアス・エイマンの素晴らしいパフォーマンスでした。アン・ドゥダンのピルエットが多用されて非常に難しいヌレエフ版のソロを見事に決めていました。当初リュドミラ・パリエロが3幕のニキヤを演じる予定でしたが、急きょミリアム・ウルド=ブラムに交代。ミリアム・ウルド=ブラムも素晴らしかったです。

引き続き、アドベントカレンダー形式で、パリ・オペラ座バレエのインスタグラムでは毎日、リハーサル映像が配信されています。ちょうど無観客配信の日には、ブロンズ・アイドルのリハーサルが配信されていたので、これは予告だったのかもしれませんね。



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