サンフランシスコ・バレエの新作フェスティバル

サンフランシスコ・バレエは、2018年の4月20日から5月6日まで、意欲的な新作のフェスティバルを開催します。
12人の注目されている振付家の作品を上演するというものです。4プログラムという構成になる予定です。

https://www.sfballet.org/2018festival

この振付家たちが、まさにいま世界で最も注目されている綺羅星のような振付家たちということで、よくこれだけのメンバーを集めたものだと思いました。

デヴィッド・ドーソン (オランダ国立バレエ アソシエイト・アーティスト)
アロンソ・キング (アロンソ・キング・ライン・バレエ芸術監督)
エドワード・リアン (バレエ・メット芸術監督、元NYCBソリスト、NDT)
アナベル・ロペス・オチョア 
キャシー・マーストン (元ベルン・バレエ芸術監督)
トレイ・マッキンタイアー (トレイ・マッキンタイアー・ダンス・プロジェクト)
ジャスティン・ペック (ニューヨークシティ・バレエ(NYCB)ソリスト、NYCB専任振付家)
アーサー・ピタ 
ユーリ・ポソホフ (元ボリショイ・バレエ、サンフランシスコ・バレエ プリンシパル、サンフランシスコ・バレエ専任振付家)
ドワイト・ローデン (コンプレクションズ・コンテンポラリーバレエ芸術監督、専任振付家)
スタントン・ウェルチ (ヒューストン・バレエ芸術監督)
クリストファー・ウィールドン (サドラーズ・ウェルス アソシエイトアーティスト)

サンフランシスコ・バレエのヘルギ・トマソン芸術監督は、以下のように述べています。

「バレエが進化し続ける芸術であることを確実にするために、独創性、バレエ芸術への情熱、新鮮な思考、そしてリスクを敢えて冒す振付家をサポートし、見せる必要があります」


12人の振付家の顔ぶれは様々で、新進気鋭から大ベテランまで、国籍や人種も多様性に富んでいます。女性振付家は、ENBでフリーダ・カーロの生涯を作品にしたアナベル・ロペス・オチョアと、ローザンヌ国際コンクールに作品も提供しているキャシー・マーストンの二人。

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今回の顔ぶれの中でひときわ注目を浴びているのは、現役のNYCBのソリストでもある29歳のジャスティン・ペック。NYCB、サンフランシスコ・バレエのほかパリ・オペラ座バレエにも作品を振付けています。

そして今話題を呼んでいるのが、現在NYCBで上演されているこのペックの新作「The Times Are Racing


ニューヨークの地下鉄の駅で撮影されており、ペック本人と、ブロードウェイミュージカル「パリのアメリカ人」にも主演したロバート・フェアチャイルドが出演しています。とてもスタイリッシュで活気に満ちた、まさにミュージカルのような作品です。実際スニーカーを履いて踊られているとのことで、ジェローム・ロビンスに影響を受けている作品そうです。

この作品の上演において、ダンサーたちは新大統領ドナルド・トランプへの抗議の言葉「Unite, React, Act, Protest and Fight.」を書いたパーカー(オープニング・セレモニーのもの)を衣装として着用して舞台に臨みました。
https://www.nytimes.com/2017/01/24/arts/dance/justin-peck-new-york-city-ballet-lacing-up-their-sneakers-to-unite.html

こちらのインタビューによれば、トランプが大統領選挙に勝利したことで作品の内容も変化したそうで、より悲観的な内容になったそうです。あと興味深いのは、ペックはゲーム「ダンス・ダンス・レボリューション」に熱中し、その経験がこの作品作りに影響したとのことです。二人のプレイヤーが競い合うというモチーフがこの作品の中にはあります。

また、この作品はもう一つ話題を呼んでいます。

主役男性ダンサーの代役に女性起用
http://www.afpbb.com/articles/-/3115668

主演のロバート・フェアチャイルドの代役に女性ソリストのアシュリー・アイザックスがキャスティングされ、踊る予定もあるというものです。男性のために振付けられた役を女性が踊るということは全くないわけではありませんし、ユニセックスな役というのもあるのですが、珍しいことには違いありません。

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なお、現在サンフランシスコ・バレエでは、イリ・ブベニチェク振付の「Fragile Vessels」という新作と、ジャスティン・ペック振付の「Countenance of Kings」(再演)が上演されています。
https://www.sfballet.org/season/repertory/program-01

イリ・ブベニチェク振付の「Fragile Vessels」は大変評判が良く、地元紙でも高い評価を得ました。
https://www.sfcv.org/reviews/san-francisco-ballet/sf-ballets-fragile-vessels-goes-from-strength-to-strength

日本にいる私たちにとっては、サンフランシスコもニューヨークも、バレエに関してはとても羨ましい状況です。

当時25歳のジャスティン・ペックがNYCBに新作「Paz de la Jolla」を振付ける様子を捉えたドキュメンタリー映像。

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