K-BALLET COMPANY『マダム・バタフライ』の公開リハーサル・レポート

 K-BALLET COMPANY『マダム・バタフライ』」の公開リハーサルが、9月11日に都内のスタジオで開催された。2019年に創立20周年を迎えた同カンパニーは、ジャコモ・プッチーニのオペラ「蝶々夫人」をモチーフにした新作を発表する。

 公開リハーサル前に、作・演出・振付の熊川哲也芸術監督から、創作のために長崎に赴きリサーチしてきた熱い思いが語られた。
「実際、生きてゆくために遊女となった人はたくさんいたんだと思います。まず、なぜ『蝶々夫人』という作品ができたのかと考えてみると、実在した”お菊さん”がベースとなったんではないか、ということが分かりました。米兵が滞在していた1か月間の恋に脚色し、ロマンスを加えて美しいストーリーに発展させたんだと思います。
 お墓参りにも行ってきたんですが、日本人として彼女たちは信念を持って生き抜いたのではないかと思うようになりました。凛とした表情の彼女たちの当時の写真を見て、彼女たちの人生を悲しんではいけないと感じました」

 そういった史実に基づきつつ、蝶々夫人(マダム・バタフライ)と米兵(ピンカートン)のふたりの馴れ初めや、なぜお互いが惹かれ合うのかなど、物語を膨らませたことを語り、舞踊面では、音楽にインスピレーションを得て「花魁パレード」も創作。

 公開リハーサルでは、マダム・バタフライ役の矢内千夏とピンカートン役の堀内將平が、マダム・バタフライとピンカートンの初夜のパ・ド・ドゥを披露。床にうずくまった矢内に、堀内がそっと近づき抱き起こし、しっとりとしたステップが展開される。当初は深い悲しみを湛えていた矢内が、だんだんと堀内によって心が解放されてゆく様を表現。堀内は安定感のあるサポートとリフトで、盤石なパートナリングを見せた。

 矢内は、「不安な気持ちを抑えることで、表現に深みを出したい」。
対して堀内は、「堂々としたアメリカ人らしく見えるように動きや態度に気を付けています」とそれぞれの役づくりについて意気込みを述べた。

 次に「花魁パレード」のダンサーが登場。色とりどりの扇子を手に、日本舞踊的な動きを巧みに取り入れた踊りを披露し、華やいだ雰囲気でスタジオを一変させた。

 最後に、熊川の熱いメッセージをお届けしたい。
「僕は言葉を正しく解読し、それをステップとして具現化できる振付家でありたい。舞台美術も含めて妥協はしない。日本のバレエカンパニーの高いレベルを見てほしい」



記事を読む
http://dancerssupport.com/hot-topics/news/2741/

スポンサーリンク