今月21日から始まるロイヤル・バレエの来日公演で、キャスト変更に伴い「ドン・キホーテ」に主演することになったマルセリーノ・サンベ。
高い身体能力と明るいキャラクターで知られる彼が、ロイヤル・バレエのプリンシパルに昇格することが決定しました。(残りの昇進情報は、また後日発表されるとのことです)
https://www.roh.org.uk/news/the-royal-ballets-marcelino-sambe-promoted-to-principal-dancer
ポルトガルのリスボン生まれのマルセリーノ・サンベは、ローザンヌ国際バレエコンクールでロイヤル・バレエ・スクールのスカラシップを獲得。2012年にロイヤル・バレエ・スクールを卒業してロイヤル・バレエに入団。2017年にファースト・ソリストに昇進しました。2008年にモスクワ国際バレエコンクールで銀賞、2009年のYAGPで1位、2017年の英国ナショナル・ダンス・アワードで傑出した男性クラシック・バレエダンサーに選ばれています。まだ25歳の若さです。
今シーズンは、「くるみ割り人形」のハンス・ピーター、「ドン・キホーテ」のバジル、「ロミオとジュリエット」のロミオとマキューシオ、クリスタル・パイト「フライト・パターン」の主役と大活躍しました。チャーミングな魅力を持つテクニシャンとして知られていますが、それだけにとどまらず、「フライト・パターン」では強く心を揺さぶる、打ちのめされるような見事な表現を見せました。
昇進発表は、Times紙のフライング気味の記事でリークしたものです。
マルセリーノ・サンベは、ポルトガルの貧しい家庭に生まれ、8歳の時にギニアからの移民である父親が亡くなり、実母が育てられなくなったために里親に育てられました。アフリカンダンスを習い始め、9歳の時に姉とリスボンのコンセルヴァトワールに通いはじめてワガノワ・メソッドを学びます。小柄でテクニシャンですが、「真夏の夜の夢」のオベロン役なども踊っており、また「ジゼル」のアルブレヒトも踊る役だったところを怪我で出演できなかったということもあり、『白鳥の湖」や「くるみ割り人形」などで古典の貴公子役にもチャレンジしたいとのことです。カルロス・アコスタに次ぎ、アフリカ系のロイヤル・バレエの男性プリンシパルは彼が2番目となります。
https://www.pointemagazine.com/marcelino-sambe-ballet-2633056877.html
ロイヤル・バレエの来日公演では、残念ながら高田茜さん、スティーヴン・マックレーの怪我により「ドン・キホーテ」のキャスト変更がありましたが、代わりに新しいプリンシパル、まさにライジング・スターのマルセリーノ・サンベのバジルが観られるのが嬉しいですね。
英国ロイヤル・バレエ団2019年日本公演「ドン・キホーテ」主要キャスト
◆6月21日(金)18:30
(キトリ):マリアネラ・ヌニェス
(バジル):ワディム・ムンタギロフ
(メルセデス):ラウラ・モレーラ
(エスパーダ):平野亮一
(ドリアードの女王):金子扶生
◆6月22日(土)13:00
(キトリ):ヤスミン・ナグディ → マヤラ・マグリ
(バジル):アレクサンダー・キャンベル
(メルセデス):イツィアール・メンディザバル
(エスパーダ):ニコル・エドモンズ
(ドリアードの女王):崔由姫(チェ・ユフィ)
◆6月22日(土)18:00 / 6月25日(火)18:30
(キトリ):高田茜 → ヤスミン・ナグディ
(バジル):スティーヴン・マックレー → マルセリーノ・サンベ
(メルセデス):ラウラ・モレーラ
(エスパーダ):平野亮一
(ドリアードの女王):金子扶生
◆6月23日(日)13:00
(キトリ):ローレン・カスバートソン
(バジル):マシュー・ボール
(メルセデス):クレア・カルヴァート
(エスパーダ):リース・クラーク
(ドリアードの女王):崔由姫(チェ・ユフィ)
◆6月26日(水)18:30
(キトリ):ナターリヤ・オシポワ
(バジル):ワディム・ムンタギロフ
(メルセデス):ベアトリス・スティックス=ブルネル
(エスパーダ):ヴァレンティノ・ズッケッティ
(ドリアードの女王):クレア・カルヴァート
マルセリーノ・サンベが主演したクリスタル・パイト振付「フライト・パターン」は、ロイヤル・オペラハウス・シネマシーズンでトリプル・ビルの一作品として6月28日より劇場公開されます。ローレンス・オリヴィエ賞に輝いた傑作です。
http://tohotowa.co.jp/roh/movie/?n=within-the-golden-hour