新国立劇場のバレエ、ダンス2017/18シーズンラインアップ/オペラ「松風」サシャ・ヴァルツ振付・演出

新国立劇場バレエ団の2017/18シーズンラインアップが発表されています。

http://www.nntt.jac.go.jp/release/detail/170112_009745.html

2017/2018シーズン バレエ ラインアップ

くるみ割り人形 [新制作]  2017年10月28日(土)より7公演
ウエイン・イーグリング振付
 
シンデレラ 2017年12月16日(土)13:00より7公演
 
新国立劇場開場20周年記念特別公演
ニューイヤー・バレエ 2018年1月6日(土)18:00、1月7日(日)14:00 2公演
「パ・ド・カトル」「グラン・パ・クラシック」「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」「シンフォニー・イン・C」
 
ホフマン物語 2018年2月9日(金)19:00より3公演
 
白鳥の湖 2018年4月30日(月・祝)14:00より6公演
 
眠れる森の美女 2018年6月9日(土)14:00より5公演
 

2017 年 7 月
平成 29 年度
新国立劇場 こどものためのバレエ劇場
しらゆき姫


2017/2018シーズン ダンス ラインアップ

舞踏の今 その1
山海塾「海の賑わい 陸オカの静寂―めぐり」
 
高谷史郎(ダムタイプ)「ST/LL」
 
舞踏の今 その2
大駱駝艦・天賦典式「罪と罰」
 
森山開次「サーカス」


プレスリリース
http://www.nntt.jac.go.jp/release/press/upload_files/lineup_ballet_dance_2017-2018.pdf


<追記>
イーグリングの“新・くるみ割り人形”〜新国立劇場バレエ2017/18シーズン
https://spice.eplus.jp/articles/98890

ラインナップについて大原は「日本のバレエの観客はバレエ人口に比例していない。一般観客がどういう作品を求めているのかを考え、(新制作、コンテンポラリーも必要だと感じるが)国立の劇場として古典バレエの上演、私自身はドラマティックなバレエを入れていきたい。また、東京以外の地方公演を増やしていきたい。その際ホール側から求められる作品は古典もの(『白鳥』『くるみ』『眠れる』等)。新国立劇場の『くるみ』はロシア版、牧阿佐美版があるが、新国の劇場にあう大きな装置で上演されるため、地方に持って行くことが難しい。新制作は地方に持って行ける作品としてということも考えてのこと。また、このバレエ団を層の厚くするためにも、若手を起用し循環させ、キャスティングの面白さで観に来ていただけるようにしたい」と語った。

2017/2018シーズンは一言でいえば古典重視。
「くるみ割り人形」の新制作を含めてチャイコフスキー3大バレエを一シーズンにまとめて上演します。今シーズン上演された「シンデレラ」、「眠れる森の美女」は2シーズン連続の上演、特に「シンデレラ」はいったい何回目の再演なのだろうという頻度です。。ガラ公演「ニューイヤー・バレエ」は古典2演目とバランシン2演目。コンテンポラリーダンスの演目は一つもありませんし、ドラマティックバレエは「ホフマン物語」のみ。唯一「ホフマン物語」が目先の変わった作品で楽しみですが、3公演しかないのは残念です。

古典重視は動員力を考えると致し方ないのかもしれませんが、せめて、チュチュお姫さまではない古典演目、たとえば「ドン・キホーテ」、「ラ・バヤデール」、「ライモンダ」、もしくはまだ上演されていませんが「海賊」などがあったら、もう少しバラエティに富んだイメージがあったのに、と思います。男性ダンサーの活躍できる場面が、このラインアップではほとんど思い浮かびません。最近の新国立劇場バレエ団は、若手の男性ダンサーが非常に充実してきて、容姿もよく技術的にも高いのでとてももったいない感じです。

また、今シーズンは、ダンスラインアップの中に、団員による振付作品を上演する「Dance to the Future」、新国立劇場バレエ団の団員に中村恩恵さんが新作を振付ける「ベートーヴェン・ソナタ」という意欲的なプログラムがありましたが、今年のダンスラインアップはすべて外部団体によるもの。舞踏作品を上演するのは良いのですが、山海塾も大駱駝艦も動員力、実績のある有名カンパニーで、新国立劇場で上演する意味があまり感じられません。

「Dance to the Future」は、2016年に2回公演があったから、なのかもしれませんが、これだけ続いていた好企画が途絶えてしまってはとても残念です。せめて次のシーズンには復活してもらいたいものです。今年2月の「ヴァレンタイン・バレエ」では貝川鐵夫さんの作品が上演されますが、貝川さん、そして宝満直也さんが「Dance to the Future」で発表した作品のクオリティも高かったので、「ニューイヤー・バレエ」で追加上演されたらいいのに、と思います。

バレエの観客のすそ野を広げるためにも、同じような古典演目だけでなく、新しい観客をつかむことができるようなプロダクションも上演することが大事だと感じています。今と同じ観客だけを相手にしていては、先細りとなってしまいます。
2月18日(土)「ヴァレンタイン・バレエ」14:00公演終演後 に大原芸術監督による2017/2018シーズン演目説明会がありますが、どのような考えを持ってこのようなラインアップにしたのか、聞いてみたいと思います。


なお、新国立劇場2017/2018シーズン オペラ ラインアップ
http://www.nntt.jac.go.jp/release/detail/170112_009606.html

この中の
松風 [新制作・日本初演]

振付家サシャ・ヴァルツの演出により、2011年5月にベルギー王立モネ劇場で初演された、細川俊夫さんによって1幕5場のオペラに仕立てられた作品です。ダンスはサシャ・ヴァルツ&ゲスツによるということで、こちらはとても期待される作品です。しかも塩田千春さんのインスタレーションも使用されているというのが興味深いところです。

現代を代表する作曲家として世界で高く評価される細川俊夫のオペラが、新国立劇場に初登場します。『松風』は能の古典『松風』をもとに若手作家ハンナ・デュブゲンがドイツ語台本を書き下ろし、細川によって1幕5場のオペラに仕立てられた作品で、世界有数の振付家サシャ・ヴァルツの演出により、2011年5月にベルギー王立モネ劇場で初演されました。サシャ・ヴァルツは、『松風』以前に古代の二人の女性の運命を描いたオペラ『メデア』や『ディドとエネアス』を既に振付・演出し、音楽と舞踊、声楽が一体となったコレオグラフィック・オペラという様式を確立しています。サシャ・ヴァルツ演出『松風』は、モネ劇場、ルクセンブルク大劇場、ポーランド国立歌劇場との共同制作、ベルリン州立歌劇場の協力により初演され、自然と幽玄を描く細川の音楽、舞踊と声楽が一体となって表現される斬新な演出、死者と生者を行き来させた塩田千春のインスタレーションが効果的な美術によって、「80分があまりに早く過ぎてしまった」(フィナンシャルタイムズ)と絶賛されました。初演したモネ劇場は『松風』をはじめとする意欲的なプログラムによって、同年の「Opernwelt」誌の最優秀歌劇場に選出されています。 日本初演となる今回の上演では、声楽、演技ともに難役である松風、村雨の姉妹役にイルゼ・エーレンス、シャルロッテ・ヘッレカント、旅の僧にダグラス・ウィリアムズが出演、指揮はデヴィッド・ロバート・コールマンが務めます。また、ダンスはサシャ・ヴァルツ&ゲスツ、ヴォーカル・アンサンブルには新国立劇場合唱団が出演します。

New York Timesにレビューも掲載されており、オペラ作品というよりはダンス作品という色彩が強いようです。
http://www.nytimes.com/2011/08/07/arts/music/matsukaze-opera-by-the-japanese-composer-toshio-hosokawa.html



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