愛知県芸術劇場の芸術監督に勅使川原三郎が就任

愛知県芸術劇場の芸術監督にダンサー、振付家の勅使川原三郎さんが就任することが発表されました。
今まで同劇場では芸術監督がいなかったので、初めてのこととなります。

https://www-stage.aac.pref.aichi.jp/news/000160.html

09年に紫綬褒章、17年にフランス芸術文化勲章オフィシエを受章し、愛知県芸術劇場では「睡眠」、オペラ「魔笛」などの作品を発表してきた勅使川原さん。

国際的な活躍については、当ブログでも何回も取り上げてきましたが、特にパリ・オペラ座では「AIR」「暗闇は黒い馬を隠す」「Grand miroir」と3つの作品を委嘱されて発表しています。精力的に海外公演を行い、昨年はフランス、ロシア、スウェーデン、イタリア、キューバと文字通り世界中で公演を行いました。日本をホームグラウンドとする日本人の振付家で、これだけ海外で活動している人もいないと思われます。

一方で、東京・荻窪では自らのスペースKARAS APPARATUSにおいて、「アップデイト・ダンス」シリーズを展開。小さな空間で8日間の公演を行い、日々作品をアップデートしており、最新作「ハリー」で58作品目となります。世界的な振付家・ダンサーの作品を親密な空間で身近に観られるのも魅力的です。ここで生まれた作品が、イタリア、フランス、ロシアなどで上演されています。年間90公演くらいをここで開催しているというのは驚異的なことです。

愛知県芸術劇場では、2020年度より、ダンサー・振付家・演出家として国際的に活躍し、国内外から高い評価を得ている勅使川原三郎氏が芸術監督に就任します。企画力の向上及び発信力の更なる強化を図ることにより、全国トップクラスの劇場にふさわしい事業を行い、知名度の向上を目指してまいります。

なお、勅使川原氏には芸術監督に就任するまでの間(2019年4月1日~2020年3月31日)、「愛知県芸術劇場アドバイザー」として、2020年度以降の劇場主催事業の方向性等についてのアドバイスやサポートをいただきます。

一方、愛知県芸術劇場は、シニアプロデューサーの唐津絵理さんの下、コンテンポラリーダンスを中心とするダンス公演を数多く企画・招聘してきました。日本のダンス界にとっては最も重要な劇場の一つです。ここでしか上演されない作品もあったり、ミニセレという小規模なダンス公演も行っています。鑑賞&レビュー講座、カフェトークといった、鑑賞者を育てる機会も開催。

今年3月には、マニュエル・ルグリを中心とした「Stars In Blue」公演を企画制作。さらに3年に一度開催されているあいちトリエンナーレのメーン会場として、2016年には勅使川原さんのオペラ「魔笛」を始め、今年2月に再演される山田うん振付の「いきのね」、イスラエル・ガルバンの「Fla.co.men」など、意欲的なプログラムも開催してきました。さらに、彩の国さいたま芸術劇場など、国内劇場とのネットワークも構築しています。

これからますます、この劇場の存在感は高くなっていくことでしょう。

 
【愛知県芸術劇場 芸術監督 就任予定者】
勅使川原 三郎(てしがわら さぶろう)
就任予定日:2020年4月1日[任期:4年間]
 

--勅使川原三郎コメント--

愛知県芸術劇場の芸術監督に就任することは、私の新たな冒険心をかきたてるきっかけとなるでしょう。美の発見を巡る予感、幾多の予期せぬ事と出会う予感ほど感情を揺さぶるものはありません。未来を予定として待つのではなく、固定した認識を覆すのみの古臭い前衛ではない、未知なる謎へ向かって身体が作りだす感情の通路を作りましょう。劇場は喜びへの予感と惑いと共に生きる。私はスタッフと共に来場する観客の皆さんの呼吸が声になり感情が響き渡る感情の通路を準備したいと思います。


愛知県芸術劇場の芸術監督という大きい役割を担う勅使川原さん、今後のKARAS APPARATUSでの活動や海外での活動はどうなるのか、気になるところもありますが、これで日本のパフォーミング・アーツ界は活性化されることでしょう。


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なお、1月28日からKARAS APPARATUSにおいて、勅使川原三郎振付、佐東利穂子が踊る「ハリー」がアップデイト・ダンスシリーズとして上演されます。
これは再演作品で、両国のシアターXでも上演されたことがありますが、レムの小説「ソラリス」(タルコフスキーの映画「惑星ソラリス」の原作)に触発された作品で、ハリーとは主人公の死んだ妻の名前です。
シアターXでの上演を観ていますが、佐東利穂子さんのパフォーマーとしての引き出しの多さに圧倒されました。「ソラリス」なのでSF的な風味もあります。

1/28(月)より
アップデイトダンスNo.58「ハリー」
小説『ソラリス』より
No.58_0106-01

「ハリー」
小説『ソラリス』より

佐東利穂子のソロ「ハリー」はポーランドの小説家レムの「ソラリス」
を基に、夫に殺された妻の復活、死と生を超越する死者の再生、
二度は死ねない妻の苦悩、愛は何を解決できるか?セリフが身体
から剥がされ奪われたダンス生命体-佐東利穂子の宇宙的極限。


アップデイトダンスNo.58
「ハリー」
小説『ソラリス』より

出演 佐東利穂子 勅使川原三郎
演出 照明  勅使川原三郎

【日時】2019年 
1月28日(月)20:00
1月29日(火)20:00
1月30日(水)20:00
1月31日(木)20:00
2月1日(金)休演日
2月2日(土)16:00
2月3日(日)16:00
2月4日(月)20:00
2月5日(火)20:00
*受付開始は30分前、客席開場は10分前

【料金】
一般 予約 3,000円 当日3,500円
学生 2,000円 *予約・当日共に

【予約】
・電話:03-6276-9136
・メール:updatedance@st-karas.com
件名を「アップデイトNo.58」とし、本文にご希望の日付・
一般または学生・枚数・住所・氏名・日中連絡のつく電話番号をご記入ください。
*予約は前日の24時まで受付けています。

【劇場】
カラス・アパラタス/B2ホール
JR中央線・総武線、東京メトロ丸ノ内線 荻窪駅
西口改札 徒歩3分
〒167-0051 東京都杉並区荻窪5-11-15 F1/B1/B2




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