KARAS APPARATUS 勅使川原三郎・佐東利穂子デュオ最新作「幻」-maboroshi- アップデイトダンスNo.45

勅使川原三郎さんとKARASの劇場、スタジオ、ギャラリーであるカラス・アパラタスは、この8月で6年目に入りました。

記念公演第1弾アップデイトダンスNo.53「火傷の季節」が先週上演されていましたが、すさまじかったです。

勅使川原さんの変幻自在の超人的ソロに酔いました。舞狂人とでも言うべきか。クラシックからパンクロックまで様々な音楽に乗せる驚異の音楽性、子供から老人、悪魔や動物に化けて見せる。白眉はジミ・ヘンドリックスのインプロにぴったり合わせて音楽そのものとなった舞。まるでジミヘンとセッションしている楽器になったいました。パンクロックと「子犬のワルツ」をリミックスした音楽と踊ったり、音楽ごとに踊りの質感を変えていくけど、60分ノンストップ。

このジミヘンインプロヴィゼーションソロには、最近の勅使川原さんのパフォーマンスはほとんど観ている私にとっても驚愕だった。スピードといい音楽への見事なシンクロといい、一つ一つの音を拾っていてあり得ないものを目撃した感。終わった後に滝のように滴り床に池を作る汗を見て、勅使川原さんは人間だった、と確認した次第。こんなダンサーは他にいないといえます。

勅使川原さんは10歳の時に大火傷をして、紫外線治療をした時の独特の「冷たい匂い」が好きだったという夏の記憶からこの作品を作ったとのこと。終演後のトークでも息を切らせることなく、何事もなかったように話す。佐東利穂子さんは不在だったけど、最初に音声で彼女のニャーというかわいらしい声を聴くことができました。そして終盤には、勅使川原さんの語り(録音)も入っていました。「伝えようとは思わない」「ひたすら表現する」という、芸術家としての決意表明のようでした。

佐東利穂子さんが不在だったのはパリで別の作品のリハーサル中だったためです。
フランスのコート・サン=アンドレでのベルリオーズ・フェスティバルで、8/26にフランスのラ・テンペットというバロックアンサンブルと共演しました。
曲はモンテベルディの聖母マリアの夕べの祈りVespro della Beata Vergineという教会音楽で、2時間以上の作品ですが、その中のいくつかの曲で踊りました。
ベルリオーズ・フェスティバル。
https://www.festivalberlioz.com/Vepres-de-la-vierge

その佐東さんも帰国し、6周年記念公演の第2弾として、8/31から上演予定のアップデイトダンスNo.54「幻」が上演されます。


「幻」は、目に見えない何か、耳に聞こえない何か、しかし確かにそこに存在する何かと向き合う作品です。
勅使川原三郎さんと佐東利穂子さんの最新のデュエットで、これも必見でしょう。
これだけのクオリティの高いダンスが、小さな空間で低価格で観られる贅沢さ。

幻 ファンタスム
降り積もる初雪のような幻
幻は夢ではない 現実の上に折り重なる幻
あなたは不可思議な確かさを求めて 現実に思いを投影し
明解な輪郭のない実像を得る 幻を
身体に密着していない半透明のそれは幻
現実は幻と共に
幻を招く人


カラス アパラタス6周年記念公演 第2弾
勅使川原三郎+佐東利穂子デュエット
アップデイトダンスNo.54「幻」

出演 佐東利穂子 勅使川原三郎
演出・照明 勅使川原三郎

http://www.st-karas.com/camp0713-2/

【料 金】一般 / 予約 3,000 円[当日 3,500 円]・ 学生 / 2,000 円 (予約当日共に)
【予 約】updatedance@st-karas.com *全席自由
件名を「アップデイトNo.54」とし、ご希望の日付・住所・氏名・一般または学生・当日連絡のつく電話番号を記入のうえ送付
メール予約受付は各回とも前日の24時まで。学生の方は当日受付で学生証を提示。

【公演日程】
8月31日(金)20:00
9月1日(土)20:00
9月2日(日)16:00
9月3日(月)20:00
9月4日(火)休演日
9月5日(水)20:00
9月6日(木)20:00
9月7日(金)20:00
9月8日(土)16:00

開演30分前より受付開始、客席開場は10分前

【会場】カラス・アパラタス/B2ホール
    TEL. 03-6276-9136



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