6月15日(金)・16日(土)・17日(日) 彩の国さいたま芸術劇場にて、NBAバレエ団のガラ公演「ショート・ストーリーズ・9 ~バレエ・インクレディブル」が開催されます。
http://www.nbaballet.org/performance/2018/shortstories/
NBAバレエ団で上演されて好評を得た作品のシーンを集めたガラ公演ですが、それに加えて、宝満直也さんと佐藤圭さん振付の新作2作品も初演され、合計9作品という贅沢な趣向。
この公演の公開リハーサルを先日拝見しました。リハーサルで上演されたのは、『ケルツ』、『ガチョーク賛歌』よりトリオ、新作の『11匹わんちゃん』と『La Vita』、そして『ブルッフ ヴァイオリン協奏曲 第1番』より第三楽章です。
『ケルツ』は、アイリッシュダンスをベースにバレエのテクニックも盛り込んだ、軽快な音楽に乗せた楽しい作品。思わず踊りだしたくなりますが、細かい足捌きがとても特徴的で、技術的にはとても難しいステップも含まれています。
『ガチョーク賛歌』も、楽しい作品ですがやはり確かな技術がないと踊れない作品。でもこのバレエ団のレパートリーとして踊りこんでいるのが良く伝わってきました。
さて、注目は新作『海賊』が大きな評判を呼んだ宝満直也さんの新作『11匹わんちゃん』。
新国立劇場バレエ団時代に振付けた『3匹のこぶた』が、ユーモアの中にブラックさも盛り込んで非常に面白い作品でしたが、今回も楽し気な作品。今回のガラ公演は、がっつり踊る作品が多いので、当初は箸休め的な、軽く楽しめる作品を作ろうと宝満さんは考えたそうですが、このバレエ団の男性陣は踊れる人が多いので、それを生かしたら、いつの間にかとても運動量が多くてハイテンションの作品に仕上がったとのことです。ある男性ダンサーを宝満さんが見て、ワンコに似ていると思ったところから着想を得たそうで、11匹の犬が1人のメスネコを追いかけるという趣向。
新作なので、どんな作品なのかは観てのお楽しみですが、宝満さんの才人ぶりが発揮された、ユーモラスな作品に仕上がっています。12人のダンサーが出演するので、フォーメーションの変化も見所の一つ。
そしてご覧の通り、男性ダンサーたちの超絶技巧も存分に盛り込まれています。長い作品ではありませんが、とてもハイテンションでアスレチックな作品なので終わった後は皆さんぐったり。
最近NBAバレエ団は、男性ダンサーのレベルがとても上がっているので、とっても見ごたえがあります。大森康正さん、高橋真之さん、安西健塁さんは特に、国内でもトップレベルのダンサーで、彼らの力強く華麗な踊りが存分に堪能できます。
宝満さんは、物語をいかに動きで表現するかということを重視して作品を作り、振付指導をされているとのことでした。
もう一つの新作は、最近再入団した佐藤圭さんによる『La Vita』。モナコのあるピアニストとの出会いから着想を得たそうです。命、という意味のタイトルですが、その名の通り、一つの命が生まれて、生を終えるまでの様子を表現した作品。長身でほっそりとしたラインの、たおやかな佐藤さんの身体の表現力の繊細さが映える、美しい小品でした。
最後は『ブルッフ ヴァイオリン協奏曲 第1番』より第三楽章。ABTが踊っている映像がDVD化されています。華やかでクラシカルなプロットレス・バレエです。
本番ではこの作品は3楽章すべて踊られますが、8人のソリストにコール・ド・バレエを従えたこの第3楽章を見るにつけ、NBAバレエ団のダンサーのクオリティがとても高いことが実感されました。美しい上演になること間違いありません。
このガラで上演される9作品、古典あり、バランシンあり、さらに新作とバラエティに富んでいます。他のバレエ団ではなかなか観られない作品も多く、レパートリーの充実ぶり、そしてダンサーたちがとても意欲的に取り組んでいるのが強く感じられました。バレエ界を変えて行こうという久保紘一芸術監督の強い意気込みが感じられる、楽しい公演となることでしょう。
ショート・ストーリーズ・9 ~バレエ・インクレディブル
日 時:
2018年 6月15日(金) 14:00 / 19:00
6月16日(土) 15:00
6月17日(日) 15:00
会 場: 彩の国さいたま芸術劇場大ホール
第一部
1. スターズ アンド ストライプス
2. ガチョーク賛歌よりトリオ
3. La Vita(佐藤圭新作)
4. ケルツ(全編)
第二部
5. ロミオとジュリエットよりパ・ド・ドゥ
6. ザ・リバーよりボーテックス
7. 海賊よりパ・ド・トロワ
8. 11匹わんちゃん(宝満直也新作)
第三部
9. ブルッフ ヴァイオリン協奏曲第1番
※演目の順番は変わる可能性があります。
チケットのインターネット、電話での販売は終了しました。当日券の販売は開場1時間前から行います。
http://www.nbaballet.org/performance/2018/shortstories/