10月28日に開幕が迫った『Last Workーラスト・ワーク』。
来日公演の準備で忙しい最中、メールインタビューに応じてくれた。
― 本公演の「最後の作品」のタイトルは、少しドキリとさせられますが、このタイトルに込めた思いはなんでしょうか?
タイトルを文学的に追及せず、あまり真剣にとらえないことです。私は常に作品を創るときはこれが「最後の作品」と思っています。ドラマ性があるタイトルが好きです。でも作品についてほとんど語っていないところも。
感情の幅に耳を傾け、それをどう活用しどのように振付に移行するかの結果が、作品へのメッセージと思いになる。
この感情に耳を傾けることで、メッセージと思いを受け取ることができる。
私たちは感情をコントロールすることも感情をクリエイトすることもできないが、センス(感覚)をコントロールし、クリエイトすることはできる。
―インスピレーションはどのようにもたらされるのでしょうか?
クリエーションする行為は、まだ行ったことのない場所に「訪問」すること。
それまで存在していたことも知らなかった場所にです。この「訪問」は、私のリサーチに大きな貢献をもたらしてくれます。私が発見したことを私の人生と能力を通してシェアすること。コラボするアーティストや演奏家、ダンサーたちの寛大さと貢献を尊重します。
―新しい作品を創造するときの哲学はありますか?
事前の準備とダンサーたちとのスタジオでの発見を組み合わせること。
事前の準備したことと、実際にスタジオで起こったことのギャップが大きい方が創作プロセスとしてはいい。私の目標はどんなスタイルからも解き放たれることです。
―1990年から同カンパニーの芸術監督として20年以上になりますが、もっとも変化をもたらされたものはありますか?
対立を対話に変えることを学びました。
―日本のファンに一言お願いします。
ダンサーが新しい領域に到達するプロセスが、私のすべての思いです。それぞれのパフォーマンスで異なる瞬間に出合えることが私は好きです。それはダンサーにもとても意義あることだと思います。
今期以降はハウスコレオグラファーとして、さらに創作にエネルギーを注げることとあり、今後ののナハリンの動向にも注目したい。