〈NHKバレエの饗宴2017〉新作『死の島ーDie Toteninsel』の振付/森優貴の本番直前インタビュー

 日本を代表するバレエ団やダンスカンパニーが一夜限りの舞台を披露する〈NHKバレエの饗宴〉。毎年この時期に開催されるフェスティバルとしてすっかり定着してきたが、昨年はマニュエル・ルグリ自ら若手ダンサーたちの指導を行い、プロデュースしたことでも高い注目を浴びた。

 そして第6回目となる2017年は、貞松・浜田バレエ団の新作と、井上バレエ団の「ナポリ」(第3幕より)、新国立劇場バレエ団の「テーマとバリエーション」 、牧阿佐美バレヱ団の「眠りの森の美女」(第3幕より)が上演される。

井上バレエ団「ナポリ」

新国立劇場バレエ団「テーマとバリエーション」Choreography by George Balanchine ⓒThe George Balanchine Trust

牧阿佐美バレヱ団「眠りの森の美女」

 貞松・浜田バレエ団出身の森優貴の振付による『死の島ーDie Toteninsel』は、ラフマニノフの「死の島」をモチーフに選んだ。ラフマニノフが画家ベックリンの同作品からインスピレーションを得て作曲したと言われている。
 この楽曲を選択したことについて森は、「迫ってくる危機、重圧が感じられ、その中に美しいメロディが流れることで生きる事への情熱や憧れ、真っ暗な運命の中でも生き続ける力を感じさせてくれる」と語る。

 

 現在ドイツのレーゲンスブルク歌劇場ダンスカンパニー芸術監督として在籍しており、ダンサー・振付家としても日本とドイツを行き来する多忙な日々を送っている森が、本番直前のインタビューに応じてくれた。

Q:ラフマニノフの『死の島』に出合ったのはいつのことでしょう?
  最初に聴いたとき印象をお聞かせください。

  今回のラフマニノフの死の島に出会ったのは、もう15年ほど前です。
  初めて聴いたときは「何てドラマチックな音楽なんだろう!」と、約20分の決して大作とはいえない
  演奏時間の中で、詰め込まれたドラマに圧倒されました。
  
  年齢を重ね聴けば聴くほど、心の様々な部分に様々な方向から感動を味わえるようになり、
  改めてこの曲の素晴らしさに圧倒されています。

Q:創作過程で予想以上に困難/チャレンジングな点は?

  困難はなかったです。自分の中で何年も温めてきた曲ですから、時が熟したと「今」だからこそ
  曲の持つ世界観に素直に入り込むことができました。
  
  チェレンジといえばこの壮大な交響詩を5人のダンサーでどう表現するか?
  曲の質、ボリュームを考えると5人とは決して充分な人数ではありません。
  チェレンジは困難なものではなく、結果的に自分の中でも筋が通った構成演出に
  仕上げることが出来たと思っています。

Q:手ごたえを感じているところは?

  曲が語る「果てしなく続く不安、暗闇、死への予感」。
  そこから僕自身がイメージした世界が、楽曲通りに素直に表現できていると思いますが、
  4月8日の本番までの過程で、その世界観に色づけして行く作業(舞台稽古、衣裳と照明)が
  残っているので、完全の形になるのをとても楽しみにしています。

 生オーケストラ演奏の迫力とともに、思う存分楽しめる作品になりそうだ。



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