◆◆レビュー評◆◆文・守山実花  パリ・オペラ座バレエ団〈グラン・ガラ〉

   ~音楽とダンスが密接に結びついた充実の舞台~

 音楽とダンスが密接に結びついた3作品が上演された。まず挙げたいのは、『ダフニスとクロエ』(振付:バンジャマン・ミルピエ 音楽:モーリス・ラヴェル 2014年初演)の日本初演。音の波動に共鳴しながら、ダンスが空間いっぱいに拡がっていく。
  鮮やかな色彩をモノトーンで縁取った幾何学図形を組み合わせた装置(ダニエル・ビュラン)は、物語が展開するシーン、すなわちエーゲ海の自然を抽象的に示すもの。装置は、モノトーンと色彩を使い分けた衣裳、音とともに膨らみうねりとなるダンスと一つになり、舞台空間そのものが生き生きと躍動するように感じられた。

 ダフニスを踊ったジェルマン・ルーヴェは、ダイナミックさと繊細さを合わせ持つダンスで、未成熟な少年特有のナイーブさ、ひたむきさを表現。オレリー・デュポンのクロエとのコンビネーションも良い。デュポンは瑞々しく、その動きは澄んだ水の流れのように自然で淀みない。

  レオノール・ボラックは無邪気な誘惑者、マルク・モローはやや線が細いが、感度の良い動き。野性味溢れる海賊のフランソワ・アリュは、空間を錯綜する黒いラインとなり、強烈な印象を残した。
『テーマとヴァリエーション』のマチアス・エイマンは抑制が効き端正、ソリストと群舞が一つになって放たれるエネルギーは爽快だ。『アザー・ダンス』では、ピアノの音で呼吸するようなリュドミラ・パリエロの成熟したダンスが印象的。
   中堅エトワールは成熟期に入り、また若い世代が育ちつつあることが感じられる公演だった。

<2017年3月9日 東京文化会館 / 文・守山実花>

C) 長谷川清徳

 

 

 



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