◆◆レビュー評◆◆文・渡辺真弓  新国立劇場バレエ団<ヴァレンタイン・バレエ>

 

    ~バレエ団の活気みなぎる見応え十分の舞台~

 新国立劇場バレエ団で、2月14日のヴァレンタイン・デーに因み、多彩な作品を揃えた<ヴァレンタイン・バレエ>が2日間にわたって開催された。2日目を鑑賞したが、全体に上昇気流に乗ったバレエ団の舞台は活気がみなぎって見応え十分である。
 第1部は、バランシンの名曲『テーマとヴァリエーション』。チャイコフスキーとロシア帝室バレエへのオマージュである。小野絢子と奥村康祐の主役カップルは緩急自在のテクニック、ブルーの衣裳の男女コール・ド・バレエはよく揃った精緻なアンサンブルを披露。まさに見る音楽としてのバランシン・バレエの魅力を堪能させた。
 第2部のパ・ド・ドゥ集では、ソリストたちの競演が興奮を誘う。『白鳥の湖』第3幕より黒鳥のパ・ド・ドゥでは、木村優里が伸びやかなプロポーションを生かし、あでやかにオディールを演じたのに対し、王子の渡邊峻郁は、跳躍した際にふわっと宙に浮かぶなど卓越した技巧が素晴らしい。

 深川秀夫振付『ソワレ・ド・バレエ』は、洒落たパを散りばめた作品で、池田理沙子と井澤駿が爽やかに共演。バランシン振付『タランテラ』を踊った米沢唯と福田圭吾も、弾けるようなステップで、和気あいあいとした雰囲気を醸し出す。
 第3部は、ロバート・ノース振付『トロイ・ゲーム』のアンコール上演。八幡顕光、木下嘉人ら8人の男性ダンサーたちのマッチョでユーモア溢れる熱演に会場の熱気も最高潮に達した。ただ、現在のバレエ団の充実ぶりを考えると、次はより現代を実感できるような作品に挑戦してほしいと願わずにはいられない。

<2017年2月18日新国立劇場オペラパレス / 文・渡辺 真弓>






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