バレエダンサーから見たロシア

留学中や、バレエ団だけの生活から見ていたロシアは、結婚してからでも楽しくて、自分のバレエだけ考えてればよかった。
国立劇場のバレエダンサーというのは、劇場が管理するタコ部屋のようなものから、一人部屋の寮、アパートなどあるが、家具に皿、シーツまで揃っていたり、ピン切りだけど提供してもらえる。ロシア語ができなくても、VISA含めて必要書類は劇場がやってくれるから困らない。当時は貯金だって出来た。そのお金で日本に帰れたし、親の助けがなければ無理だったが一ヶ月の夏の休暇を日本で過ごせた。

だから何年経ってもロシア語できない日本人ダンサーがロシアに多くいるのは確か。だって、必要が無いんだもの。

国立劇場のバレエダンサーは、留学の延長と言っても良いくらい、自分が一番可愛くて自分のことだけ考えてれば良い、勝手大魔王のエゴエゴでいられる、おとぎ話の世界に過ぎなかった。結婚したら私の場合、夫が劇場通勤圏内の生まれで、持家の世帯主だったが故に寮追い出され、家賃補助も絶ち切られたが、それでも妊娠するまでは定期的に病院にかかることもなかったし、結婚前に定住権、現在の永住権を取得していたから書類に振り回されることも大して無かった。


それが、
妊娠してバレエを離れて一般ロシア人社会のなかにどっぷり浸かると、今まで見てきたロシアは私の中にあった、ロシアバレエというきらびやかなカタカナに洗脳された脳内花畑メンへラ視点からでしかなかった。
※ "メンヘラ" は、ロシア語表現で "ピンクのメガネをかけている" と言う

しかし、24歳女がピンク・メガネをかけたままであったのは仕方がないのだ。

私はボリショイバレエアカデミーで、一般ロシア人からはかけ離れすぎた美のエリートに囲ままれ、留学してすぐロシア語もわからないままボリショイ劇場で踊らせてもらって卒業したら、ロシアのことを知る機会や興味もないまま国立劇場就職、すぐソリスト。バレエダンサーになりたい人から見れば、憧れる道のりではあるのかもしれない、しかし中身は、住んでる国について知ろうともしない世間知らずのガキのまま。まあ、それは28歳になった今も。

私が見た実際のロシアがどうであったかは、このブログの過去記事とくに妊娠中の記事にある通りなので、ここでは割愛します。



産後、バレエ団に戻って、一年以上レッスンもしてなかった私めでもソロの役をもらった。
それでも同僚を見る私の目には「この人らは子供手当金をもらって、私よりいい生活をしているのに子育てや疲れを理由に練習はしないけど役は賄賂で解決する人」にしか映らなくなった。そうね端からみれば、もしかしたら「わがまま」

せめて子供手当金がもらえていたら、私は少しは人間としての存在意義を感じられたのかもしれないが、プーチンに手紙を書き、国家相手に裁判をしてもダメだった。
自分という人間は、ロシアに人権否定されているのだと確信した。
ロシアに税金を納めているし、何よりロシア国籍者からロシア国籍者を産んだとで社会貢献をしたのにも関わらず、国をあげて否定されたのた。社会保障のお金が欲しかった、というか無いと生活できないのは確かだが、第一に、人権と権利が欲しかった。
そこらにいた、ゴキブリは税金納めなくてもロシアで生まれたからロシア国籍所有しているけれど、私は外国で生まれたからロシアに税金納めても搾取の対象にしか成りえない外国籍異邦人。

バレエ団の、同世代の同じく子を持つ、同僚の顔を見るのも辛くなった。彼女らが新しいレオタードやコートを買えたり、無駄な食品を買ってこうして太っていられるのは、子供手当てをもらっているからだとしか思えなかった。
殺意が湧きそうになることもあったが、後に冷静になれば自分が消えてしまいたいと、私の性格上にはありえない感情も出てきた。

こうなると、どう良く踊っても評価されても、何も入ってこない。家に帰って娘をつれて散歩に出ても、同世代のベビーカーを押すロシア女を見ると、抱く感情は同世代の子持ち同僚に対してと同じ。

ロシア女であれ人間だ!
人間に対して憎悪して、疲れたし、そんな気持ちになってまで娘家に残して、しかもロシアという子育て劣悪環境で、バレエって踊るものなのだろうか考えた。生活できる給料とは言えど子供のための貯金なんて一切できない薄給公務員。


思考の方向性を変えることに成功して、今こうして日本にいます。


日本に帰ってきたら落ち着いたし、人に恵まれるし、私も人間として社会から認められて人権を取り戻した。社会的立場とか、人権って人を豊かにする。当たり前か。
正直、日本がこんなに素晴らしい国だなんて思ったことなかった。その点に関しては、自国を見つめ直す機会をくれたロシアに感謝しないといけないのかもしれないね。

ここまでロシアの現状を書いておいて今更だけれど、留学やバレエ団生活だけでは、私のようにロシア社会に深く関わることは無いので、このブログを読んで下さっている若い、バレエダンサー志望の皆様は怯えないで大丈夫ですよ。

ただロシア社会では、税金納めても永住権を取得してロシア国籍の子供を産んでも、ロシア国籍を取得しない限り、外国籍は一生、外国の余所者です。私はほぼほぼロシア人のようにロシア語を話すけれど、見られ方は人である前に外国人。そのつぎに日本人だとか、女だとか、子供生んでるとかオプションが追加される。

外国人だけど給料もらって働かせてもらっている、という感謝の気持ちがないと、バレエ団ではやっていけないと思う。というか私はそうだった。

ここまで書いてしまったけど、
ロシアや海外に留学したい子供たちを、心から応援しています。

16日のワークショップ、定員まで僅かながら空きがあるので、ご希望の方はお早めにご連絡ください。


関係ないけどクリミアで見たヤルタ会談の三頭












記事を読む
https://ameblo.jp/kanonballet/entry-12573322194.html

スポンサーリンク