石井竜一インタビュー、井上バレエ団『シルヴィア』全幕・新振付

 『シルヴィア』は、女神シルヴィアと牧童アミンタの神と人間が恋に落ちるラブファンタジー。音楽はフランス・バレエ音楽の父で知られるレオ・ドリーブ。井上バレエ団は、このドリーブの楽曲に、全幕新たに振り付ける。ゲストダンサーには、浅田良和、米倉佑飛、檜山和久が出演。

 構成・演出・振付を担う石井竜一に全幕創作への意気込み等について語ってもらった。

― 本作の全幕・振付のインスピレーションはどのように得たのでしょうか?

 じつは、『シルヴィア』の楽曲はあまり熟知していなくて、あの曲は「シルヴィア」の中の曲だったのかと後から知ったぐらいの知識でした。過去二回ほど、「シルヴィア」から抜粋してストーリーのない作品を振付したのですが、そのときに、何て綺麗で興奮する音楽なんだろうと感じました。
 その頃からいずれと思っていましたが、色々な全幕バレエを振付して自信がついてからと想像していましたので、こんな早く機会がいただけるとは考えていませんでした。

― 新作の振付はどのように進んでいるのでしょうか?

 バレエの場合は、物語をわかりやすくするためのマイムがあります。
井上バレエ団が長くレパートリーとしているブルノンヴィルの作品には、多くマイムが入っていて、とても自然に音楽の中に踊りの一部として溶け込んでいます。僕もこのスタイルを多く活用して、物語をより分かりやすく伝えるために工夫しています。

 
― 原作の部分を残す箇所はありますか?

 『シルヴィア』は海外でも色々な現代作家が振付をしていますが、資料や記録は非常に少ないと聞いています。井上バレエ団が上演するのは世界的に一番上演回数が多いと言われているアシュトン版です。ストーリーや人物設定などは変えることはありませんので、全体的に共通する所は多くあると思いますが、振付自体は全く別のものになります。

― 全幕振付への意気込みをお聞かせください。

 クラシックバレエは先達の方々が創作した作品を継承していく伝統があるので、オリジナルは作り難いと思います。
ですが、この『シルヴィア』に関しては、幸いに資料やバージョンが少なく、設定さえ守ればオリジナルに近いものは
可能だと思いました。
 かつてプティパが、『白鳥の湖』の曲構成を作り直すことで、この作品は現代に継承される素晴らしい名作となりました。
僕もストーリーはそのままで、曲をカットしたり最後の三幕は曲を再構成して、エンディングを変えてみることにしました。観に来ていただいた方々に踊りを堪能していただき、感動をもたらしたいと思っておりますのでご期待ください。多くの皆さんのご来場をお待ちしております!



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