今回の「眠れる森の美女」。
私にとっては色んな意味で凄くハードな公演となりました。。。
今日は『まさかこんな形で体調不良になるなんて…』についてです。
以前のブログでも書きましたが、私の母がタルサまで公演を見に来てくれました。
海外で働いてる身として、身内が日本からわざわざ公演を見に来てくれるということは凄く特別な事。。。
その為、いつにも増して怪我をしてはいけないという思いが強くなりました。
(親が来てるのに怪我をして踊っている姿を見せてあげる事が出来なかったら悲しすぎますよね。。。)
というのも、「眠り」のリハーサルが始まる前から筋肉が凝り固まり、足首の調子がイマイチになっていて…
私の左足首は関節が緩く、ちょっとしたことで骨がずれやすくなっていて、そのせいで痛みが生じてしまう…
他の部分より念入りにトレーニングが必要な体の部分で、普段滅多にお世話にならないテラピストさんに通いながらケアをしていました。
けど、それだけでは不安で物足りなく感じた私は、他に何か助けてくれるものはないかと思いネットで調べ、タイガーバームの『muscle rub(筋肉を擦る)』というマッサージクリームにたどり着くのでした。
それが悲劇の始まりとは知らずに。。。
クリームを塗った部分だけに小さな異変が起き始めました。
最初はちょっとピンクなポツポツが出ていただけでしたが、日に日にそれは姿を変え、
ふくらはぎ、膝裏がザラザラしだし、痒くなり始めました。
次の日にはタイツからでも透けて見えるくらいの赤いポツポツがふくらはぎ、スネ、太もも前後、膝裏(塗った部分)に現れるようになりました。
蕁麻疹なのかと思い、市販のアレルギー薬買って飲み、様子を見る事に…。
ですが、昨日より見た目が酷くなり、腫れも感じるようになったので病院へ行きました。
アメリカでは皮膚科に行くのも日本の様に簡単ではなく、予約して何ヶ月も先まで待たないと診てくれないのが普通。
そこで、まずは総合分野のお医者さん『ホームドクター』に診断してもらい、必要なら紹介状と共に専門医に飛ばされ診てもらうというのが簡単に言うアメリカの病院事情。
ですが、この時の私はアメリカの病院事情をしっかり理解しておらず、皮膚科に行きたいけど予約が取れないのでは意味が無いという事で、土日もやっているurgent care(緊急処置のウォークイン病院)で診てもらうことにしました。
(ちなみにこれがアメリカでの初医者&病院!)
病院でこうなった経緯を説明したら『毛嚢炎』と診断され、この日からステロイドなどの薬を飲み始める事になりました。
その際言われた事は、薬の効果が出るのは2,3日か遅くて5日ぐらいで、運動もして構わないよ!でした。。。
病院で診てもらい少し安心してたのですが、昨日より脚が腫れ、皮膚が突っ張り、体重を掛けると痛みを感じ、炎症を起こしてる肌の色が急激に変化し、赤いポツポツだったのが広がり、脚全体が紫がかった赤に…
例えるなら「もののけ姫」のような感じ。
明らかに悪化してる事は分かっていましたが、それでも「眠り」の為に体は動かしておかないとと思い、ジムへ行き軽く運動しました。
朝より悪化してくる脚の皮膚。。。
この日から不安と痒さとで、寝たのか寝てないのか分からない日々が続くのでした。。。
両ふくらはぎ、太ももに紫がかったエンジ色のレッグウォーマーを着けてるような見た目になった脚。体重をかけるたび膨張した脚が痛み、焼けるような熱さもあり恐怖でした。
痛くて踊れない。。。
バレエ団で先生たちに相談し、あまりにも様子がおかしいから、ホームドクターに診てもらえと言われました。
(この時にようやく、アメリカの病院事情を知り、自分にホームドクターがいる事が分かったのです。)
電話で事情を説明し、初診でしたが運良くその日診てもらえるアポが取れ、『cutaneous small vessel vasculitis』皮膚小血管血管炎だと思うと診断されました。
塗ったクリームの成分にアレルギー反応を起こし炎症しているとのこと。
ドクターの診断後、血液検査と尿検査もしてもらいその日は終わりました。
けど、結果が出てないからバレエをしていいか、いつまで休んでいたらいいかなど、この時点ではまだ分からないままでしたが、明日検査結果の連絡をくれると言われたので、それだけで少し生き返った気分でちょっと元気を取り戻せた日となりました。
昨日から催促の電話を掛けまくり、この日も連絡がないから催促し直したり、不安が募るばかり。
そんな中、バレエ団からオーロラのインタビューがあるから来いと言われました。
休日を挟んで月曜火曜とバレエをしてないだけなのに、凄く久し振りにカンパニーに行く気分。
不安で押しつぶされそうだったので、この呼び出しは凄く助かった感じがしました。
急に来なくなった私をみんな凄く心配してくれて、泣きそうになりながらも、脚を見せては目を剥かれ…!!
リハーサルが出来ないし、踊れるか分からないから申し訳ない気持ちでいっぱいだった私に『セナの健康が一番だからね』と言ってくれたパートナーのジョナサンの優しい言葉が忘れられません。
自分の周りの人たちの温かさに触れながらインタビューを受けていたら、やっと病院から電話!
「検査結果は異常はなかったので、踊れますよ。ステロイドはまだ飲み続けて、無くなったらアポを取って下さい。」
とのこと。
景色が急に明るくなったようで、本当に安心して嬉しかった!!!
この時からステロイドの効果も出てきたようで、炎症が若干治り、腫れも少し引き、肌の色も少し薄くなってきました。
この日からバレエを徐々に再開。
膨張でポアントのリボンが結べなかったり、皮膚が突っ張る感じや熱さ、痒さは続いていましたが、ピークの酷かった時と比べたら本当に良くなり落ち着き始めているのが分かるようになりました。
普通に踊れる喜び。
健康でいれることの喜び。
ステロイドを飲み続けて1週間と少し。
ここへきて副作用の威力にやられていくのでした。
この日から体重が2,3kg急激減!!
少しの頭痛と高熱、激しい吐き気に襲われるようになりました。
ステロイドは免疫力を下げ風邪や感染症にかかりやすくなるから飲み続ける時は注意ということばかりネットで見るので、めちゃくちゃ不安でした。
処方されてた10日分のステロイドが無くなったのでアポを取り病院へ行きました。
ドクターは私の肌の回復を見て順調だと。でも、まだステロイドは同じ量、この期間飲み続けるようにと明るく言いました。
私が悩んで不安でいる体調不良には全く問題無い様子で。
ドクターがそう言うし問題ないのかと思い込もうとしていましたが、その夜…
私のオーロラの最後のステージゲネプロの最中、熱と吐き気が急に襲ってきてめちゃくちゃ辛かった。。。
ブっ倒れたら誰かが病院まで連れて行ってくれるだろうと思いながら、袖で動けずにいて…、死ぬのかなと思った(大袈裟)…
何とか監督にはバレずにゲネを終えました。
こんな体調不良が本番でも起きたら怖すぎるので、薬の飲み合せのこともあるし、しつこいのは承知で次の日も病院にアポを取りました。
そんな頻繁に病院に行くのはおかしいけど、不安過ぎたので。。。
何回も来る私に凄く優しくナースさんが話してくれて、聞きたい事も聞けたし、吐き気を抑える薬も処方してもらったし、副作用は仕方のない事なんだと自分に言い聞かせました。
とにかくしっかり食べないと。。。
自分を守る為にマスクをしているとこを監督に見られ、事情を説明しました。
(外国でマスクをしていると、かなり酷い風邪や感染症と思われるそうです。日本では普通の事ですが。)
「それでかー」と思い当たる節があったように私を心配してくれて、本番前に随分気を遣わせてしまったなぁと。。。
熱っぽい時はたまにありましたが、その後は何もなく。。。
母がタルサに無事着き、21〜24日の「眠れる森の美女」全4公演を無事健康で終える事が出来ました。
体重が急に激減して、スタミナや筋肉が最後まで持つかという不安。
ステロイドのせいでまた体調不良にならないかという不安。
飲み続けないといけないというストレス。
良かれと思って塗ったタイガーバームのクリームのせいで起こった今回の事。
まだ完治したわけではありませんが(ほとんど元に戻ってきた)、まさかこんな形で体調が悪くなるとは…という話でした。
今は薬を飲まなくても大丈夫か様子を見ているとこです
自分で引き起こしたアクシデントでしたが、不安な事が多過ぎました。。。
これでやっとぐっすり眠れます。。。
異変を感じた時に早く行動するとこも出来たのかもしれませんが、その異変が現れるのがもう少し遅かったら踊れていなかったし、薬もちゃんと効いてくれたおかげだなと思うと、運が良かったのかなぁと。。。
私が降板したら、他のキャストにも響いてしまうとかそんな事を考えると、誰にも迷惑を掛けることなく公演を終えれて本当に良かったと思います。
もう二度と変わった事はしません!!!
神さま、ありがとう。
ではノシ