青木尚哉インタビュー・新作『atlas』、Artist Support Program Vol.3 <Dance New Air 2018> Lecture + Dance

 スタジオアーキタンツが主体的に取り組んでいるASP(アーティスト・サポート・プログラム)の一環として、「レクチャー付きダンスプログラム」が新たに誕生した。本プロジェクトに選ばれた4名の振付家が3年間の経過を発表。初めてコンテンポラリーダンスを鑑賞する方にも、ゲストスピーカーが分かりやすくレクチャーを交えつつ多角的な視点で作品を紹介する。

 

 本プログラムで、新作『atlas』を発表する振付家・ダンサーの青木尚哉が作品について語ってくれた。

―『atlas』のインスピレーションはどのように得たのでしょう?

 作品を創るようになったのは最近のことで、キャリアのほとんどをダンサーとして過ごしてきましたが、今作はライフワークとして常に意識している自分自身の居場所や身体のこと、少し大げさな言い方ですが「存在」からインスピレーションを得ています。

 自分の居場所や置き所に迷いが生じ、所在なげに生きていることに長年違和感や疑問を感じてきました。ダンサーは創造された架空の世界をいかに現実のようにに生きるかが重要だと思っています。
 一方の現実世界では、ひどく胡散臭い自分を感じてしまい、なんとも置き場がない心地悪さを味わってきました。そうした思いの一片があり、創り手として「リアルとは何か?」をテーマに「場所」にこだわった作品を創作したいと思いました。

― どのような作品になりそうでしょうか?

 タイトルの『atlas』という言葉は、ギリシャ神話の神の名前でもあり、骨の一部(第一頸椎)の名称でもあり、いくつかの意味を持っていますが、本作では「地図帳」という意味合いを込めました。
 地図帳は、1枚ではないいくつもの地図が複合的にまとめられていますが、本来一つしかない座標軸がいくつもある状況が面白いと感じました。自己と周囲を取り巻く環境を改めて観察・計測し直し、「当たり前のことに疑問を投じる」ような作品にしたいと考えています。

― 今作の音楽の方向性については?

 2013年より共同制作を度々行っている児玉北斗さんにお願いしています。彼自身が優れたダンサーであり作家ですので、僕の作品に対する想いや意図としていることを話した上で、音楽を含めアドバイザーもお願いしています。
 いわゆる楽曲を作ってもらうというよりは、シーンのイメージに合った音響を生み出す、といった方向になりそうです。ダンスと同時に音楽が生まれていく醍醐味を、皆さんにも楽しんで頂きたいと思います。



記事を読む
http://dancerssupport.com/hot-topics/news/2144/

スポンサーリンク